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【2020年】ゲーム業界の課題を解説!業界の現状と動向は?ゲーム業界に転職するなら確認しておこう
2020年、世界が大きく変わり多くの企業が大ダメージを受ける中で、逆境をチャンスに変えて伸びているのがゲーム業界です。不況時に伸びる業界への転職は、人生の安定だけでなく大きなステップアップとなります。ゲーム業界に転職するなら知っておきたい業界の動向と課題を、海外情勢にも言及しながら解説します。

目次
2020年の家庭用ゲーム市場規模は大きく伸びた
2020年、家庭用ゲーム市場規模が数年ぶりに大きく伸びました。
新型コロナウイルスによる「外出自粛」が、家庭用ゲーム機とソフトの売上アップの大きな要因といわれています。
2012年以降で最大の市場規模
上半期の市場規模を2019年と比較してみると、2019年上半期が約1531億円であったのに対して2020年上半期は2128億円です。
なんと、39%も市場規模が拡大しているのです。ゲームに関連する主要企業のほとんどがプラスの業績となりました。
2020年上半期、ハード・ソフト別の家庭用ゲーム市場規模は以下です。
・ハード793.4億円(昨年対比120.0%)
・ソフト954.7億円(昨年対比129.0%)
2012年以降では最大の市場規模となり、2006年以降で初めてハード・ソフト共に前年比プラスとなっています。
2020年は変革の年
2020年はゲーム業界にとって変革の年といえるでしょう。各企業が次々と新しい試みを発表しています。
「2020年のゲーム業界の現状と動向」を知るうえで、外せないキーワードがあります。
・新型コロナウイルス
・次世代ゲーム機
・eスポーツ
・クラウドゲーム
・サブスクリプション型
・VR
一つずつ解説していきます。
新型コロナウイルスが2020年のゲーム業界に与えた影響
新型コロナウイルスが2020年のゲーム業界に与えた影響は、とても大きいものでした。
外出自粛による消費増加
外出自粛による「巣ごもり」の時間が増えるにつれて、暇つぶしにゲームをする人が多くなりました。
これにより、これまでゲームをしなかった層までがゲームをするようになったのです。
家庭用ゲーム機で遊ぶのはもちろん、クラウドゲームでストリーミング形式のゲームを楽しむ人も増えました。
ダウンロードコンテンツの人気
外出自粛だけでなく、リモートワークによって暇な時間が増えた人たちも多いでしょう。
これにより、気軽にスマートフォンでダウンロードできるゲームアプリや無料のソーシャルゲームを楽しむ人たちが増えました。
これらは接客なしでユーザーに入手してもらえるため、配信会社にとって売り込みやすいものでした。
自粛ムードの社会状況にマッチし、特にDeNAなどゲーム配信会社が大きな黒字になりました。
ゲーム実況動画の視聴率が増加
「ゲーム実況動画」が多く見られるようになったのも、新型コロナウイルスの影響の一つでしょう。
Twitch・YouTube・Facebook Gamingなどのプラットフォームで配信されるゲーム実況動画が人気となりました。
ゲーム実況動画の視聴をきっかけにソフトを購入するユーザーが増加したため、家庭用ゲーム市場が大きく伸びたのです。
新しいコミュニケーションの形
「あつまれ どうぶつの森」のヒットに見られるように、ゲームを介したオンラインコミュニケーションが人気となりました。
自粛で「人との触れ合い」に飢えた人たちが多かったのでしょう。
電話やビデオ通話では距離を感じますが、オンラインゲームでのコミュニケーションは同じ空間にいるような気分を味わえます。
今までゲームをしなかった人たちまでが、このオンラインゲームでの濃厚コミュニケーションを楽しむようになりました。
ちなみに「あつまれ どうぶつの森」は、2020年3月20日の発売からたった6週間で日本と欧米で合計1341万本をセールスしています。
これからも、オンラインゲームを通じて人とのつながりを体感する人たちがますます増えていくと見られています。
これが最後のゲーム機となるか?次世代ゲーム機の登場
2020年、家庭用ゲーム市場で最も注目されたのはPlayStation 5とXbox Series Xの発売です。
ロード時間の短縮やグラフィックの向上などが取り沙汰されていますが、本当の価値はネットサービスの充実にあるでしょう。
特にXbox Series Xとも連携する“Xbox Game Pass”では、300以上のタイトルが遊び放題になるといわれています。
オンラインマルチプレイ・クラウドゲームサービスにも対応した“Xbox Game Pass Ultimate”も注目されています。
両機種とも光学ディスクドライブ有りのタイプと、光学ディスクドライブ無し・ダウンロードコンテンツ専用のタイプが発売されます。
これは、後述のクラウドゲームやサブスクリプション型サービスにゲーム業界の主流が移行していく象徴ではないでしょうか。
これら次世代ゲーム機が「最後の家庭用ゲーム機になるのでは?」といわれています。
2020年以降、急成長するeスポーツ業界
ビデオゲーム・コンピューターゲームでの対戦をスポーツ競技に発展させたeスポーツ。
日本人プロゲーマーが海外で活躍している映像を見たことはありませんか?
eスポーツ業界は今後さらに市場が拡大していくと予想されています。
株式会社Gzブレインの分析によると、eスポーツの市場規模が2020年には7,263億円、2022年には9,937億円に達するといわれています。
2020年の大きな動きとしては、NTTドコモがeスポーツ業界に参入したことでしょう。
「PUBG MOBILE」のeスポーツリーグ「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE SEASON 1」の運営を開始すると発表がありました。
NTTドコモはRiot Gamesとパートナーシップを結び、2021年には「League of Legends:Wild Rift」の開催も予定しています。
そして、2021年にタイで開催されるAIMAG(アジアインドア&マーシャルアーツゲームズ)というイベント。
この大会でもeスポーツが正式競技として採用されたのです。
今後も国内外のさまざまなイベントにおいて、eスポーツの採用が検討されています。
eスポーツはこれから特に注目の分野でしょう。
大手IT企業4社がついに揃い踏み!クラウドゲーム
大手IT企業のクラウドゲーム参入は2019年から活発化していました。
Googleが2019年11月にリリースしたクラウドゲームサービス“Stadia”。2020年9月に情報公開されたAmazonの“Luna”。
そして、Microsoftのクラウドゲームサービス“xCloud”が2021年前半に日本導入と発表されました。
この大手3社に引き続き、ついにFacebookがFacebookアプリとブラウザでプレイできるクラウドストリーミングゲームを公開しました。
デバイスを選ばずに遊べるクラウドゲームは、今後のゲーム市場の担い手になるか?と期待されています。
しかし、現段階で次世代ゲーム機と全く同じパフォーマンスができるかといえばそうでもありません。
「ストリーミングの遅延」など諸問題を5Gで解決できるかどうかが、これからの課題でしょう。
各企業が巨額を投入しているVRゲームの可能性
VR元年と言われた2016年から4年。
2020年の大きな動向はFacebookが“Oculus Quest2”を発表したことでしょう。こちらに適したVRソフトも続々リリース予定です。
また、大手ゲーム企業によるVRゲーム会社の買収や巨額の資金調達が相次いでいます。
スウェーデンのゲーム大手「Thunderfulグループ」は、イギリスのVRゲームスタジオ「Coatsink」を31.5億円で買収しました。
「Coatsink」のVRゲーム事業に、さらに89.8億円を投入する見込みです。
「ウォーキングデッド」で有名なVRゲーム開発の「Survios」は、総額75億円もの資金調達をしています。
VRゲームは大きな可能性を秘めているため、Facebookの「Oculus Quest」発売以降は多くの企業が資本投下を始めています。
今後の主流となるか?サブスクリプション型サービス
Netflixのようないわゆるサブスクリプション型(=定額課金)サービスも、ゲーム業界に大きく進出しました。
どのサブスクリプション型サービスも、月額500円〜600円ほどで約100以上のゲームを遊び放題となっています。
Xbox Games Pass・PlayStation Now・EA Accessの利用者が増え始めたのも2020年になってからです。
モバイルゲームの方ではApple ArcadeやGoogle Play Passに加えて、Game Clubというスタートアップ企業が参入しました。
月額530円でiPhoneでの利用でスタートしましたが、2020年6月にAndroidでも利用できるサービスがスタートしています。
こちらも2020年の大きな動きの一つでしょう。
しかし、ゲームのサブスクリプション型サービスについては疑問を持つユーザーも少なくありません。
「利用期限に縛られるのが嫌」・「多すぎて遊びきれない」・「ゲームソフトは所有したい」など、抵抗感は拭えないようです。
これからユーザーにどう受け入れてもらえるかが課題でしょう。
ゲーム業界の今後の課題
転職するなら知っておきたいゲーム業界の課題を解説します。
テクノロジーの部分よりも、「これからの時代にどう対応していくか」という部分の課題が多いようです。
少子高齢化への対策
少子高齢化によるマーケット縮小はゲーム業界の大きな課題です。ゲーム業界を支えてくれるのは子供たちだからです。
もちろん大人もゲームを楽しみますが、65歳を超えた高齢者がゲームを積極的に楽しむ機会は少ないでしょう。
また、少子化の加速により国内の市場規模が減少していくのは目に見えています。
市場規模を拡大していくには大人を取り込むだけでなく、若年層の多い海外マーケットにアプローチする必要があります。
海外でいかに受け入れられるか
日本の企業は少子高齢化に伴って海外市場を拡大させていかなければなりません。
海外で根強い人気を誇る日本のゲームは多いにもかかわらず、海外輸出は苦戦しています。
かつては世界のゲーム市場で50%のシェアを誇っていた日本のゲームも、今では10%台に落ち込んでいます。
その理由は日本人と海外の人の趣味・嗜好の違いです。
日本人はRPGやアクションといったジャンルが好きです。
しかも、見た目や性格が現実には存在しないようなキャラクターやファンタジーな世界観を好みます。
一方、海外の人たちはリアルを求めます。画質や設定においてもリアルさを追求した「FPS」というジャンルが好きなのです。
そのため、日本人の趣味・嗜好だけに合わせて作られた日本のゲームは海外の人には合わないのです。
これから海外市場を開拓していくにあたり、日本人と海外の人たち両方に好まれる作品をいかに作るかが課題です。
ソーシャルゲームの将来性
一時は落ち込んだ日本のゲーム業界を再生させたのは、ソーシャルゲームの功績でしょう。
ただし、今後も成長を続けられるかどうかが日本のゲーム業界の抱える課題だといわれています。
ソーシャルゲームは基本無料で、課金によって収益を得るビジネスモデルです。ユーザーが離れれば収益が得られません。
実際にこの課金システムや、ログインボーナスを得るために生活をゲームに支配されることにウンザリする人が続出しています。
最近ではソーシャルゲームを離れていく人も多いので、将来性は疑問視されています。
新しく登場してきたクラウドゲームやサブスクリプション型サービス、次世代ゲーム機を相手にどこまで戦えるかが課題です。
経営陣の男女バランス
ゲーマー人口における女性比率は、およそ43%といわれています。
「国際ゲーム業界ジェンダーバランス・スコアカード」という調査があります。
2020年版の調査結果によると、ゲーム業界の経営幹部の大半を男性が占めていることがわかりました。
いかにゲームキャラクターの多くが男性目線で作られているか、この調査結果から分かるでしょう。
筋肉モリモリの男性・スタイルの良いセクシー女性というキャラクターたちは、男性経営陣が生んだステレオタイプなのです。
女性幹部が少ない業界では、女性消費者を理解しようとする姿勢や関心が低い傾向にあります。
43%を占める女性ユーザーをいかに満足させられるか、女性の視点を入れた経営戦略もゲーム業界の課題です。
withコロナ時代への対応
これからの時代、新型コロナウイルスと共存していかなければいけないしょう。働き方もこの時代に合わせていかなければなりません。
ゲーム業界では在宅ワークにより、クリエイターの生産性は上がりました。
しかし、上流の「開発現場」においては在宅ワークだけでは不十分といわれています。
開発の肝となる部分については、濃厚なコミュニケーションでブラッシュアップする作業が必要だからです。
また、開発現場では意思決定や判断にスピードを要する場面も多いので、Web会議ではどうしてもスピード感が鈍ります。
withコロナ時代の働き方に開発チームがどう対応していくかが問題です。
転職するならゲーム業界が熱い
新しいテクノロジーとの連携により、ゲーム業界はますます盛り上がっています。
ゲーム業界は好・不況の影響が少なく、多くの業界が大ダメージを受けた新型コロナウイルスさえも追い風にしています。
ゲーム業界の現状・動向を見たときに、据え置き型のゲーム機やソフト開発は縮小していくでしょう。
反対に、スマートフォン用のゲーム・アプリ開発をしているWeb・モバイル系企業の将来性・可能性はとても大きいといえます。
自分が開発に携わったものが多くの人を笑顔にするのは、エンジニア冥利に尽きるのではないでしょうか?
ゲーム業界の中でも伸びていく分野を見極め、ご自身の能力を存分に発揮できる職種への転職を成功させてください。
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