SIerはやめた方がいい? 実態と注意点をIT業界特化の転職エージェントが解説
転職先としてSIerを検討し始めたとき、情報収集していると「SIerはやめとけ」「SIerはヤバい」などという意見を目にする方もいるのではなでしょうか?本記事ではIT業界に特化した転職エージェントがSIerの実態や向いている人、求人選択においての注意点を解説します。
目次
SIer(エスアイヤー)はやめた方がいいと言われる一般的な理由
SIer(エスアイヤー)はやばい?実際の仕事内容とは
1.要件定義:クライアントへのヒアリングを通して、どのようなシステムやサービスを求めているか分析し要件定義する
2.設計:システムの大枠を構築したあとに基本的な仕様・構成など詳細にまとめる
3.開発:設計に基づいてプログラミングを行う
4.テスト:開発したシステムが正常に稼働するかどうか単体テスト・結合テスト・総合テストの3種類を行いチェックして機能や関数、システムの機能関連も問題ないか確認する
5.運用・保守:システムが問題なく稼働しているか確認し、システムの向上のためのアップデートを試みたり稼働を監視する
残業や休日出勤もありブラック企業が多いと思われている
システム導入後も運用・保守を担うSIerの性質上、長時間労働が常態化していることが問題視されています。
働き方改革で多くの企業の労働環境が改善されるなか、プロジェクトベースで動くSIerはクライアントごとの要求に応えるために働き方改革が浸透しにくい傾向があります。
下流工程の業務ほど待遇が厳しくなりがちで環境も悪くなり、低賃金で長時間労働を迫られるブラック体質のSIer企業も存在します。
仕事の納期が厳しい印象がある
下請け・孫請けのSIerなどは元請け、発注元の大手SIerにスケジュールの決定権があります。
一般的に下請けへと工程が下がるほど納期が短くなり、開発スケジュールもタイトになっていく傾向です。
納期を守るために厳しい束縛時間が続くことを強いられるという印象から「やめた方がいい」という意見に繋がっていると考えられます。
技術力がつかないと思われている
要件定義やマネジメントスキル、品質管理、企画・設計・開発などの上流工程のスキルを経験したくとも、中小規模のSIerでは携われる機会が少なく、自身のスキル向上に繋げづらいと言われてきました。
もし現在の仕事がキャリア形成に有効ではないと分かれば、「つまらない」「辞めたい」という考えの原因につながることもあるでしょう。
実際、SIerの仕事ではプロジェクトごとに求められるスキルや開発環境が異なることもめずらしくないため、伸ばすべきスキルやキャリアの方向性を見失ってしまうリスクも考えられます。
客先常駐の仕事が多くクライアント先に気を使う場面が多い
本来SIerは受託開発であり自社開発で成果物をつくりますが、自社のSIerを他社に客先常駐させる企業が存在するのも事実です。
SIer企業は年収が低いと思われている
SIer企業は年収の低さも「やめた方がいい」とされる理由として挙げられています。
ただし年収が低いSIer企業は中小規模で、かつ下流工程のみ請負っている企業の場合です。
下流工程のみを請負う企業の場合では年収の低さが言及されることもありますが、元請けの多い大手メーカー系SIer企業ではその限りではありません。
大手メーカー系SIerであれば必ずしも平均年収が高いとは言い切れませんが、一概にSIer企業全てが低年収というわけではないのです。
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SIer(エスアイヤー)への転職 やめておいた方がいい人の特徴
プログラミングをやりたい方
SIerでは実務でプログラミングを行うことはほぼありません。
エンジニアやプログラマーがプログラミングする環境を整える程度です。
そのためプログラミングのスペシャリストを目指す方の場合は、SIerでの業務に物足りなさを感じてしまう可能性があります。
知識やスキルの向上にあまり興味がない方
自身を磨きたい、昇進してマネジメントなどの役職に就きたいという向上心がない人も、SIerは向いていない可能性があります。
SIerはスケジュール管理、品質管理、クライアント対応、スタッフの管理、関係者との折衝など難易度の高い業務が多い仕事です。
キャリアアップを目指す人にはSIerはおすすめですが、スキルや知識の向上に興味がない方にはあまりおすすめできないかもしれません。
仕事の納期が短い環境が得意ではない方
他の項目でも触れましたが、SIerでは下流工程になるほど納期が短く厳しくなります。
なかには下流工程の業務ばかりでモチベーションを保つことが困難に感じる方もいるでしょう。
自ずと過密スケジュールになり、ワークライフバランスが取りづらくなることもリスクとして考えられます。
短期的に多くのプロジェクトをこなすよりも長期的にじっくり業務と向き合いたいタイプの方は、中小企業のベンチャーSIer企業より自社開発の多い大手SIerの方が適性があるでしょう。
成果主義の評価制度が苦手な方
特に独立系SIerでは、自由な社風や成果主義を特徴とする企業が多い傾向にあります。
つまり成果物の評価こそがエンジニアの能力をはかる物差しであり、成果主義の風潮が強いほど成果を出し続け、実績をあげなければ待遇も年収も上がらないということです。
年功序列を好む方、未経験から転職して業務をじっくり時間をかけながら技術を覚えたい方、または厳しい競争の中で働くことが苦手だと感じる方は、SIerとして働くのは厳しいかもしれません。
後悔のないSIer企業を選ぶポイント
自社サービスがある企業を選ぶ
自社サービス・自社開発ができる企業は、他社の影響を受けて経営が傾いてしまうことが少ない傾向にあります。自社で案件を取ってくることができる営業力のある企業も同様です。
自社サービスの実績があり、営業力のあるSIerは安定感があるため、転職先候補としておすすめできます。
社員の平均年齢が35歳前後の企業を選ぶ
社員の平均年齢は「社員が長く働ける環境かどうか」を見極める指標のひとつです。
一般的に平均年齢が35歳前後のSIer企業は健全な体制が保たれているといわれています。
平均年齢が若すぎる企業では離職率が高い、高すぎる企業ではブラック化しているなど偏った傾向があることが懸念されるため、社員の平均年齢もチェックしてみると良いでしょう。
なお平均年齢はネットや書籍、OB・OG訪問で直接確認するなどの方法で知ることができます。
企業規模の大きさも意識する
SIer企業では、ハードウェア等を製造している大手メーカー系SIerや、上場しているユーザー系SIerなど規模の大きな企業では年収が高く好待遇が望める可能性が高い傾向にあります。
規模が大きな企業では親会社の経営が安定しており、労働環境の整備が進んでいます。長く勤務できる可能性が高いことも魅力のひとつでしょう。
受けたい企業が何次請けなのか調べる
下流工程ばかりを請け負うSIer企業ではモチベーションの維持が難しく、自身が望むスキルアップが見込めない可能性が考えられます。
そのため、SIer企業への転職に際して志望する企業が何次請けなのか確認が必要です。
下流工程が多い企業では、上流工程に携わるSIer企業と比較して数百万円の年収差が生じること、長い労働時間やタイトなスケジュールに追われるリスクも考えられます。
SIer企業への転職には、志望する企業が多重下請け構造の中でどの位置にあるのかを必ずチェックしておきましょう。
具体的な方法が分からない場合は、転職エージェントの活用もおすすめです。
SIer(エスアイヤー)の将来性
SIerは将来性がない?
クラウドの普及や発注コストの高さ、また慢性的なエンジニア不足などからSIerの将来性に疑問の声も度々聞きます。
ITゼネコンと呼ばれる多重下請け構造は、マイナスイメージの一因になっているためです。
しかし近年DX(デジタルトランスフォーメーション)需要が増加しており、それに伴いパッケージソフトの導入が広く普及し始めています。
たとえばERPパッケージと呼ばれるパッケージソフトの場合は、受注、販売、在庫等、売上げ管理などの業務処理を一元管理します。
パッケージソフトは標準的な機能が広く搭載されている既製品ですが、カスタマイズにより機能を追加するなど企業に合わせてさらにカスタマイズすることが可能です。
こういったパッケージソフトの導入はSIerの本領が発揮できる部分であり、企業や組織がDXにより効率化や生産性を上げようとすれば比例してSIerの需要も増すと考えらえます。
また働き方に関しても、長年大手SIerの下請けや孫請けが主な業務だった中小SIer企業にも自社でソフトウェアやアプリケーション開発に着手する動きが見て取れます。
下流工程業務の収益を得ながら、並行して自社サービスの開発も行っている中小SIer企業も増加傾向にあるのです。
以上のことから将来的にメリットも多く、SIerには将来性がありまだまだ伸びしろが期待できる面が多いといえます。
SIerが今後も必要とされる理由
SIerが今後も必要とされるもっとも大きな要因として挙げられるのが、大型プロジェクトの安定した受注が可能であるという点です。
金融機関や政府系の公共性が高い大規模プロジェクトの受注においては、セキュリティ面などが考慮されるため、SIerが高いシェア率を誇っています。
つまりSIer企業には定期的に大規模な案件を受注できる背景があり、だからこそ基盤は安定しているといえるのです。
また、求人数も依然高い水準を維持しています。
SIerへの理解を深めて転職しよう
SIer企業への転職は、人によってはデメリットとなり得ることもありますが、メリットも十分にあるといえます。
大規模案件に携わることで得られる経験値をキャリアパスに活かすこともできるでしょう。
またSIer企業の特徴である下請け請負い構造についても、二重請負いの禁止など働き方改革により環境改善の兆しがあります。
クライアントの要求に沿ったシステム設計・構築や安定稼働のスペシャリストとして、今後SIerの評価は高まる見込みです。
IT・Web・ゲーム業界の転職に強い転職エージェントのGeekly(ギークリー)では、SIer企業の情報を多数保有しています。SIer企業での仕事に興味がある方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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