ゲーム業界の「IP」の意味は?自社IPと他社IPの違いやメリットデメリットを解説
ゲーム業界における「IP」とは知的財産を意味します。ゲームにはほとんどの場合キャラクターがいますが、そういった版権(著作権)を指すのがIPです。本記事では、IPの種類や定義や自社・他社IPの違いや活用事例、IPに携わる職種も解説します。
目次
IP(知的財産)の意味・定義とは
「IP」の定義
IPとは、Intellectual Property(インテレクチュアル プロパティ)の頭文字をとった略称であり、「知的財産」を指します。
知的財産とは「人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などには、 財産的な価値を持つもの」と定義されます。(参照:日本弁理士会HP)
例として「本の著作権」や「ブランドの商標」「発明した商品の特許」などが知的財産に該当します。
ゲーム業界におけるIPとは、主にゲームタイトルやキャラクターのことを指しています。
有名無名に関わらず、どんなタイトル、キャラクターにもIPは存在します。
・『スーパーマリオブラザーズ』マリオ
・『ポケットモンスター』ピカチュウ
・『ドラえもん』のび太
・『ワンピース』ルフィ
上記が日本を代表する有名なIPです。
価値を見出すファンの数が多ければ多いほど、「大型のIP」と呼ばれるようになります。
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自社IPと他社IPの違い
自社IPの定義
自社IPは知的財産のことであり、ゲーム業界では自社が作ったキャラクターやタイトルが該当します。
例えば、ポケモンという作品を生み出した株式会社ゲームフリークにとって、「ポケモン」というタイトルもキャラクターである「ピカチュウ」も、自社IPにあたります。
他にも「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」はガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の自社IP、「モンスターストライク(モンスト)」は株式会社ミクシィの自社IPです。
知的財産であるため、ゼロイチで創り出されたこのようなキャラクターやタイトルに関わる権利は、すべて制作した会社に帰属します。
他社IPの定義
自社IPに対し、他社IPは他社が持つ知的財産を指します。
つまりゲーム業界では他社にIPがあるキャラクターやタイトルを指す言葉です。
例えば他社IPを利用して制作された実例としては、集英社の作品である「NARUTO」を改編して作られたゲームが該当します。
2018年にバンダイナムコと中国のゲーム会社であるテンセントが、NARUTOのモバイルゲーム改編権利を獲得し、モバイルゲームを共同開発しました。
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自社・他社IPのメリットとデメリット
それぞれの定義については先述しましたので、ここでメリットとデメリットを整理していきましょう。
メリット
- 売り上げた利益を自社で全て回収できる
- ファンが付けば次回作の売上を想定できる
- 自社のブランドの武器になる
- 他社にIPを渡すことも可能
自社IPの場合、利益が発生した場合は100%自社のものとなります。
ファンが付き、知名度が上がればそれだけ利益は増えるのが自社IPです。著作権があるため、グッズなどの展開も自由に行える点はメリットと言えるでしょう。
また、他社に自社IPを貸与する場合はロイヤリティが入るため、新たな利益創出も可能です。
ゲームの知名度が上がればそれだけ会社の認知度も上がるため、評価も伴う点もメリットです。
- ファンの育成が不要
- 一定数の売上見込みが立つ
- 集客の手間が省ける
他社IPの場合、すでに固定のファンが存在するため一定の売上が見込める点がメリットです。
また認知度獲得や広告宣伝、キャラクター設定、ストーリーなどに時間をかける必要なく、ゲーム制作に力を入れることができます。
自社IPがゼロイチならば、他社IPは1から100を生みだすことができるメリットがあります。
デメリット
- 一定数の売上が見込めない
- 赤字のリスクがある
- 集客の手間がかかる
新しいものを創り出し、ヒットさせる時間や労力などのコストに対し、見込んだ売上に達することができず赤字になってしまう可能性が自社IPのデメリットです。
大手であっても新たにIPを創り出すハードルは高く、一定のリスクを背負うことになります。
既に大型に成長している自社IPであれば使用することによるデメリットは非常に少ない一方で、自社IPを新たに作り出す段階では忍耐が必要です。
- 意思決定スピードが遅い
- 自由度が低い
- 先行投資が必要
- 利益率が下がる
他社IPを使用する際には、権利を買うための初期投資が必要です。
資金が豊富且つ技術力のあるゲーム会社でなければ、効果的に売上を伸ばす事は困難でしょう。
また決められた制約に従って作品を作る必要があるため、原作の作品にない要素を追加したい場合はIP元の会社の意思決定を待たなくてはなならず、タイムロスが生まれてしまうことも多いです。
クリエイティブ面での自由度が欠ける点もデメリットと言えます。
IPの活用事例を紹介
IPの活用方法は主に「アニメ化」「グッズ化」「ライブなどのリアルイベント」の3種類です。
・アニメ化の事例(自社IP)…ポケットモンスター、妖怪ウォッチ、イナズマイレブンなど
・アニメ化の事例(他社IP)…ドラゴンボール、NARUTO、ワンピースなど
・グッズ化の事例…フィギュア、ポスター、アクリルキーホルダー、缶バッジ、一番くじ、飲食物とのコラボレーションなど
・リアルイベントの事例…「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」、「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」、2.5次元舞台「刀剣乱舞」など
これらは自社・他社問わず、ゲーム以外でのIP活用事例です。
香川県のゲーム条例の疑惑に登場したIPアドレスとの関連は
ゲームとIPといえば、香川県で採決・可決されたゲームの依存症対策を目的とした条例で話題に上がっていた、「IPアドレス」を思い浮かべる人もいるかもしれません。
しかしながら、ゲームのIPとこの条例に登場するIPアドレスは全くの別物です。詳しく見ていきましょう。
IPアドレスとは
IPアドレスとはインターネットに接続している機器がそれぞれ持っている個別の番号のことで、インターネットにおける住所のようなものといえます。
この数字で、どこにある何の機器が今インターネットに繋がっているのかを区別しているのです。
IPアドレスには「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」というものがあります。
インターネットに直接接続するルーターという機器にあるのが「グローバルIPアドレス」、そのルーターに繋いでネットを閲覧できるようにする、コンピューターやスマートフォンにあるのが「プライベートIPアドレス」です。
香川県の条例疑惑で登場した「IPアドレス」とは、後者を指しています。
一方で、ゲームのIPとはキャラクターなどの知的財産を指します。「IP」という名前が同じだけであって、実態はまったく違うものなのです。
そもそも「IP」が略している言葉も違います。IPアドレスの「IP」は「Internet Protocol」の略名で、ゲームのIPは「Intellectual Property」の略です。
パブコメ原本の疑惑とは
香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」に対するパブコメ(パブリックコメント)の原本が開示された際、ある疑惑で話題になりました。
それは開示されたパブコメの資料に載っているプライベートIPアドレスが同一のものである、というものです。
先に解説した通り、プライベートIPアドレスは一つのルーターに接続されている端末が持つ番号です。つまり、原本に記載されているパブコメは全て同じ人のものという可能性があります。
さらに、そのIPアドレスから集中的にほぼ同じ内容の意見が送られていたのです。
事実、公開されたパブコメは多数が条例に賛成する意見でした。
加えてその賛成意見のIPアドレスが全て同じだったということで、SNSなどでは「条例を可決させるための自演なのではないか」という声があがっています。
実際に本当に不正があったのかは定かではありません。香川県の担当者は「代理のサーバーを経由しているから同じIPアドレスになる」と説明していますが、自演という疑惑を払しょくできていないのが実情です。
ともあれ、ゲームのIPと香川県の条例で話題になったIPアドレスは別のものであるということを覚えておきましょう。
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ゲーム業界でIPに携わる職種
イラストデザイナー・ディレクター
イラストデザイナーは、ゲーム内のデザインを担う職種です。
キャラクターやアイテムをデザインしますが、IPタイトルのデザイナーには原作に忠実沿うことが求められます。
一般的なデザイナーとは異なり、オリジナリティではなく絵柄を寄せるスキルが必要な職種です。
ゲームディレクターはゲームの方向性を決定し、開発現場を管理する役割です。
デザイナーへの指示やIPタイトルに関連する外注先への発注なども管理します。
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プランナー
ゲームの企画立案を通してアイデアの可視化を担うのがプランナーです。
基本構成を考えるために、コンセプトの設定やレベルデザインも担当できるスキルレベルが求められます。
また、原作の世界観を壊さないよう配慮するだけでなく、原作の良さを引き出せるような企画を立案するセンスが問われる仕事です。
ゲーム会社での開発経験やIPの知見があると役に立つでしょう。
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