
所得とは?収入・手取りとの違いや計算方法をわかりやすく解説
所得とは収入から必要経費や所得控除を差し引いた金額のことで、会社員であれば源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」がこれに当たります。
本記事では、所得の定義から10種類の分類、所得税の計算方法、書類での確認方法までを、会社員・個人事業主どちらにも役立つ形でまとめて解説します。
【この記事はこんな人におすすめ】
- ・確定申告や年末調整で「所得」の意味や書き方に迷っている人
- ・収入・所得・手取り・年収の違いを正しく整理したい人
- ・転職による年収の変化が所得や手取りにどう影響するか知りたい人
この記事のまとめ
- 所得は収入から経費や控除を差し引いた金額で、収入・手取りとは異なる
- 所得は10種類に分かれ、会社員は給与所得控除をもとに計算する
- 転職で年収が変わる際は、所得や手取りへの影響も踏まえた判断が重要
目次
所得とは?収入・手取りとの違いをわかりやすく解説
「所得」は税金の計算の土台になる金額で、収入や手取りとは指し示すものが異なります。ここでは所得の定義を確認したうえで、混同しやすい四つの用語の違いを比較表で整理します。
- 所得とは「収入から経費や控除を差し引いた金額」のこと
- 所得・収入・手取り・年収の違いを比較表で整理
所得とは「収入から経費や控除を差し引いた金額」のこと
所得とは、収入から必要経費や所得控除を差し引いた金額のことです。
会社員の場合は、給与収入から給与所得控除を引いた金額が所得に当たります。個人事業主であれば、売上から必要経費を差し引いた金額が事業所得です。
収入そのものではなく、そこから一定の金額を差し引いた後の数字を指す点がポイントといえます。
所得税や住民税は、この所得をもとに税額が計算されるため、正確に把握しておくことが欠かせません。
所得・収入・手取り・年収の違いを比較表で整理
所得・収入・手取り・年収は、それぞれ指している金額が異なります。混同しやすい四つの用語ですが、書類上の該当欄とあわせて整理すると理解しやすくなります。
| 用語 | 意味 | 該当する書類・欄 |
|---|---|---|
| 収入 | 税金や社会保険料が引かれる前の総額 | 源泉徴収票「支払金額」欄 |
| 所得 | 収入から必要経費・給与所得控除等を差し引いた金額 | 源泉徴収票「給与所得控除後の金額」欄 |
| 手取り | 所得税・住民税・社会保険料等を差し引いた後、実際に受け取る金額 | 給与明細「差引支給額」欄 |
| 年収 | 1年間の収入の合計 | 源泉徴収票「支払金額」欄 |
収入は税金や社会保険料を差し引く前の総額を指し、手取りはそこから天引き分を除いた後に実際に受け取る金額です。
年収は主に1年間の収入の合計を指す言葉として使われ、給与所得者であれば源泉徴収票の「支払金額」欄がこれに当たります。
所得は、収入からさらに経費や控除を差し引いた後の金額であるため、四つの中では最も小さい数字になるケースがほとんどです。
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所得の10種類の分類と計算方法
所得税法では、所得は性質に応じて10種類に分類されている点が特徴です。まずは全体像を一覧で確認し、そのうえで会社員・個人事業主それぞれの計算方法を見ていきます。
- 所得の種類一覧【10種類】
- 会社員の給与所得の計算方法
- 個人事業主・フリーランスの事業所得の計算方法
所得の種類一覧【10種類】
所得税法上、所得は次の10種類に区分されます。
- 給与所得(会社員などが受け取る給与・賞与)
- 事業所得(個人事業主・フリーランスの事業による所得)
- 利子所得(預貯金の利子など)
- 配当所得(株式の配当金など)
- 不動産所得(賃貸経営による家賃収入など)
- 退職所得(退職金など)
- 山林所得(山林の伐採・譲渡による所得)
- 譲渡所得(土地・建物・株式等の売却による所得)
- 一時所得(生命保険の満期保険金など)
- 雑所得(公的年金や副業収入など、他のいずれにも当たらない所得)
どの所得に区分されるかによって、計算方法や税率、控除の仕組みが変わってくる点に注意が必要です。自分の収入がどの区分に当てはまるかを確認しておくと、確定申告の際に迷いにくくなります。
会社員の給与所得の計算方法
給与所得は、給与収入から給与所得控除を差し引いて求めます。
給与所得控除の金額は収入額に応じて段階的に定められており、収入が多いほど控除額も大きくなる仕組みです。
たとえば年収500万円の会社員であれば、給与所得控除額はおよそ144万円となり、給与所得はおよそ356万円と計算できます。
この給与所得控除後の金額こそが、源泉徴収票に記載されている「所得」に当たる部分です。
(参考:国税庁『No.1410 給与所得控除』)
個人事業主・フリーランスの事業所得の計算方法
事業所得は、売上(収入金額)から必要経費を差し引いて求めます。
必要経費には、仕入れ費用や事務所の家賃、通信費など、事業のために支出した費用が含まれます。
青色申告を行う場合は、さらに青色申告特別控除を差し引くことが可能です。
売上が同じでも経費の計上状況によって所得金額は変わるため、日々の記帳が節税にもつながる点もポイントといえるでしょう。
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所得税の計算方法をわかりやすく解説
所得税は、所得金額から課税所得金額を求め、そこに税率をかけて算出する仕組みです。ここでは計算の流れを4つのステップに分けて紹介します。
①所得金額を計算する
最初のステップは、収入から必要経費や給与所得控除を差し引いて所得金額を求めることです。
会社員であれば給与所得控除後の金額、個人事業主であれば売上から経費を差し引いた金額がこれに当たります。
②所得控除を差し引いて課税所得金額を求める
次に、所得金額から所得控除を差し引いて課税所得金額を求める流れです。
所得控除には、誰もが適用を受けられる基礎控除のほか、社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除などがあります。
控除の適用漏れがあると、本来より高い税額で計算されてしまう可能性があるため注意が必要です。
③所得税額を求める(速算表つき)
課税所得金額が定まったら、税率をかけて控除額を差し引き、所得税額を求めます。
所得税は課税所得金額が大きいほど税率が高くなる超過累進課税のため、計算には以下の速算表が便利です。
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(参考:国税庁『No.2260 所得税の税率』)
所得税と住民税の計算方法の違い
所得税と住民税は、どちらも所得をもとに計算されますが、税率の仕組みが異なります。
所得税は課税所得金額に応じて税率が上がる超過累進課税である一方、住民税の所得割は所得の大小にかかわらず一律10%(道府県民税4%・市町村民税6%)が標準税率です。
この違いを知っておくと、年収が上がった際の手取りの変化もイメージしやすくなります。
(参考:総務省『地方税制度|個人住民税』)
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混同しやすい所得の関連用語をまとめて解説
扶養控除や給付金の判定などでは、所得に関連するさまざまな用語が登場する場面も多いものです。ここでは特に混同しやすい用語を整理します。
合計所得金額とは
合計所得金額とは、給与所得や事業所得など各種所得を合計した金額のことで、扶養控除の対象になるかどうかや、住民税非課税の判定基準として使われます。
この金額が一定額を超えると、扶養から外れてしまう場合があるため、家族の年収を確認する際にも意識しておきたい用語です。
総所得金額・総所得金額等との違い
合計所得金額とよく似た言葉に「総所得金額」「総所得金額等」があります。それぞれ差し引く対象や用途が異なるため、比較表で整理します。
| 用語 | 内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 合計所得金額 | 各種所得の合計額(一部繰越控除前) | 扶養控除・住民税非課税の判定 |
| 総所得金額 | 合計所得金額から損失の繰越控除等を差し引いた金額 | 所得税額の計算 |
| 総所得金額等 | 総所得金額に退職所得・山林所得等を加えた金額 | 各種給付金・保険料の所得制限判定 |
名称は似ていても判定に使われる場面が異なるため、書類に記載を求められた際は、どの用語を指しているかを確認することが大切です。
所得証明書とは何か
所得証明書とは、前年の所得金額を公的に証明する書類で、市区町村役場で取得できます。
住宅ローンの審査や保育園の入園手続き、奨学金の申請など、収入状況の証明を求められる場面で必要になることが多い書類です。
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自分の所得はどこで確認できる?源泉徴収票・確定申告書の見方
自分の所得がいくらなのかは、手元の書類から確認可能です。会社員と個人事業主で確認すべき書類が異なるため、それぞれ見ていきます。
- 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄を見る
- 確定申告書での所得の記載欄
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄を見る
会社員の場合、所得は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に記載されています。
「支払金額」欄と混同しやすいものの、支払金額は控除前の収入、給与所得控除後の金額が所得に当たる点に注意が必要です。
年末調整後に会社から配布される源泉徴収票で、毎年確認する習慣をつけておくと安心です。
確定申告書での所得の記載欄
個人事業主やフリーランスの場合は、確定申告書第一表の「所得金額等」欄に、事業所得や雑所得などの合計が記載されます。
副業を行っている会社員も、給与所得と副業の所得をあわせて確定申告書に記入する場合があるため、あわせて確認しておきたいポイントです。
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転職・年収交渉で知っておきたい「所得」の考え方
転職によって年収が変わると、所得や手取りにも変化が生じます。ここでは、転職を検討する際に押さえておきたい所得の考え方を紹介します。
- 求人票の「年収」表記と所得・手取りの違い
- 転職のタイミングで所得税・年末調整はどうなる?
- 副業・フリーランス収入がある場合の所得区分
求人票の「年収」表記と所得・手取りの違い
求人票に記載されている年収は、税金や社会保険料が引かれる前の額面であることが一般的です。
実際の手取りは、そこから所得税・住民税・社会保険料が差し引かれた金額になるため、年収アップの提示を受けた際は、所得や手取りベースでどの程度変化するかまで確認しておくと、入社後のギャップを防ぎやすくなります。
転職のタイミングで所得税・年末調整はどうなる?
年の途中で転職した場合、転職後の会社に前職の源泉徴収票を提出することで、年末調整をまとめて受けられるのが一般的です。
年内に転職先が決まらなかった場合や、複数の会社から収入を得ていた場合は、自身で確定申告を行う必要が生じることもあります。
副業・フリーランス収入がある場合の所得区分
給与所得者が副業を行う場合、その収入は雑所得または事業所得に区分されるのが一般的です。
継続性や事業としての実態があるかどうかが区分の目安とされており、判断に迷う場合は税務署や税理士への確認をおすすめします。
転職に伴って働き方が変わる場合も、副業収入の扱いをあわせて見直しておくと安心です。
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所得に関するよくある質問
所得については、定義や税金の有無に関する疑問も多いものです。ここでは特に質問の多い4つの項目をまとめて確認します。
- 所得と収入の違いは何ですか?
- 所得税がかからないのは所得がいくらまでですか?
- 収入があるのに所得が0円になることはありますか?
- 所得証明書はどこで取得できますか?
所得と収入の違いは何ですか?
所得は収入から必要経費や給与所得控除等を差し引いた金額を指します。
税金や社会保険料が引かれる前の総額を指すのが収入です。
所得税がかからないのは所得がいくらまでですか?
基礎控除等の所得控除の合計額以下であれば、所得税はかかりません。
会社員の場合、令和8年分(2026年分)は給与収入がおよそ178万円以下であれば所得税がかからないケースが一般的です。
(参考:国税庁『No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか』)
収入があるのに所得が0円になることはありますか?
経費や各種控除の金額が収入を上回る場合、所得が0円になることがあります。
個人事業主で経費が多くかかった年などに起こりやすいケースです。
所得証明書はどこで取得できますか?
住民登録をしている市区町村役場の窓口で取得できます。
マイナンバーカードを利用したコンビニ交付に対応している自治体もあるため、事前に確認しておくと手続きがスムーズです。
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所得を正しく理解して、収入アップの転職にも活かそう
所得とは、収入から必要経費や所得控除を差し引いた金額であり、収入・手取り・年収とはそれぞれ意味が異なります。
所得は10種類に区分され、会社員は給与所得控除、個人事業主は必要経費をもとに計算する仕組みです。所得税は所得金額から課税所得金額を求め、速算表を用いて算出できるため、一連の流れを押さえておくと確定申告や年末調整にも役立ちます。
転職によって年収が変わる場面では、所得や手取りへの影響まで見据えて判断することが大切です。
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