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ブロックチェーンの活用事例ご紹介!ビットコイン以外にもこんな場所で使われていた。
ブロックチェーンは仮想通貨のイメージが先行しています。それは、ビットコインとブロックチェーンが同時に生まれたからです。しかし、ブロックチェーンはその他の業界のシステムを置き換えるほどのインパクトを持っています。そこで今回は、ブロックチェーンの簡単な説明を交えながら、活用事例を紹介します。

目次
ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは、一度データを書き込むと上書きができないデータベースです。
ブロックチェーンは、仮想通貨(暗号資産)の盛り上がりとともに認知度が高まりました。
一般的には、「不正や改ざんができない」ことが魅力のひとつに挙げられます。
また、ブロックチェーンのデータ管理は中央集権ではなく、分散管理できることも特徴です。
ブロックチェーンをベースとしたシステムを使う人たちが、全員でデータの整合性を担保して運用されます。
誕生してからこれまで、ブロックチェーンはその活躍の舞台を広げています。
それは、以下のように分類されます。
・ブロックチェーン1.0:仮想通貨(暗号資産)のベースとなる技術として稼働
・ブロックチェーン2.0:金融(フィンテック)のIT技術として広がる
・ブロックチェーン3.0:金融以外の分野にも浸透
2019年12月現在、金融業界以外のあらゆる分野で活躍が期待される「ブロックチェーン3.0」というステージに進んでいます。
ブロックチェーンが改ざんできないといわれる理由
ブロックチェーンへデータを記録するためには、ブロックチェーン技術をベースにもつプラットフォーム上で、トランザクション(取引)を発生させる必要があります。
プラットフォームとして利用されている分野が仮想通貨(暗号資産)で、ビットコインシステムやイーサリアムシステムといわれるものです。
発生したトランザクションに対して、データの信憑性を判断する人たち(ビットコインシステムではマイナーと呼ばれる)が、それが正しいデータであるかを計算によって証明し、過半数の合意が得られたらブロックチェーンへ書き込まれるのです。
ブロックチェーンに記録されるデータはブロックという単位でまとめられ、一定方向に繋がれて行きます。
ブロックの繋がりは、前後のハッシュで結びついているため、一箇所だけを書き換えるなどの改ざんは不可能です。
これが、ブロックチェーンが改ざんできないといわれる理由です。
ブロックチェーンと仮想通貨(暗号資産)の違い
ブロックチェーンはビットコインとともに誕生した技術です。
中央集権に頼らず、デジタルデータに通貨の価値をもたせるための仕組みを実現しました。
例えば、ビットコインはブロックチェーン技術をインフラに持つシステムの一つです。
そして、仮想通貨取引で取引されているコインと呼ばれるものは、ブロックチェーンに記録される実態のないデータなのです。
ブロックチェーン技術は、後に変更されたくないデータを保存するデータベースとして利用することで、過去の情報を操作できない(データベース書き換えのできない)システムを作れます。
ビットコインについて
ブロックチェーンと共に生まれたビットコイン。ただ仮想通貨というイメージだけが独り歩きしていますが、実際はどのようなものなのでしょうか。
仮想通貨とは
ビットコインは形こそありませんが、現在は価値が上がったことで本物のお金に近い性質を持っています。それが仮想通貨の定義です。
仮想通貨はデータでのみ取引されるものであり、円やドルといった現金と違って国が価値を保障するものではありません。そのため、法的な拘束力がない資産でもあります。
ブロックチェーンとビットコインの関係
ブロックチェーンとビットコインは同時に話に出るため混同されやすいですが、この二つは全くの別物です。
ブロックチェーンは、ビットコインなどの仮想通貨の取引を記録する台帳のような存在といえます。取引情報をまとめているのがブロックチェーンであり、ブロックチェーン技術は仮想通貨にとって重要な技術基盤なのです。
仮想通貨で行われた取引の履歴データを「トランザクション」、複数のトランザクションを集めて整理・収納したものを「ブロック」と呼びます。さらにこのブロックがいくつもできると鎖(チェーン)のようにつながるのです。これがブロックチェーンの仕組みです。
マイニングとは
ブロックチェーンについて知ると、「マイニング」という言葉が登場します。マイニングとは、先に解説したブロックを作ることです。その報酬として仮想通貨が手に入ります。マイニングは元々「採掘」を意味する英単語で、トランザクションデータが書き換えられないように検証するのが役目です。
一見簡単そうな作業に見えるかもしれませんが、多くの値を入れながら条件を満たすハッシュ値を探さなければなりません。その計算は手順が多く困難です。その難易度が鉱山から宝を掘り当てることとよく似ているといわれています。それこそが「マイニング」という名称の由縁です。
ブロックチェーンは選挙にも活用されている
ブロックチェーンの活用方法として現在特に注目を集めているのが、選挙の投票です。
仮想通貨を管理するシステム技術であるはずのブロックチェーンが、何故選挙に関わっているのでしょうか。
ブロックチェーンはお金ともいえる仮想通貨の情報や記録を管理する、かなり重要な存在です。そのため情報の改ざんも当然難しくしています。
一方で選挙の投票もまた、国を左右する大きな出来事です。投票データがハッキングされてしまうことは、国を窮地に陥れかねません。つまりブロックチェーンの高いセキュリティ技術が、重要なデータを扱う選挙で注目を集めているのです。
投票率が向上
ブロックチェーン技術を使ったインターネット投票は、既に日本やアメリカで行われています。日本では政治の選挙までは利用されていませんが、投票率の向上が期待されているのです。
実際、海外駐在中のアメリカ軍が米国外から投票する大統領選挙は、ブロックチェーンのインターネット投票が行われました。すると従来の投票手順よりもインターネット投票の方が、投票率が2倍に増えたのです。
インターネット投票は場所や時間を選ばず、また顔認証で本人確認もできます。そのため管理者と投票者双方の手間を削減できるのです。これは日本の実証実験でも証明されています。
使い勝手の良いスマートコントラクト

ブロックチェーン技術の活用が広がりつつありますが、使い勝手のよいシステム基盤として重宝されているのが「スマートコントラクト」という機能です。
ビットコインシステムとは別の「イーサリアム」の一部の機能として実装されており、ユーザーが起こしたアクションによって契約を自動化します。
例えば、生命保険で、ユーザーが加入する時から、死亡時の遺族への保険金支払いまでを自動化できます。
ブロックチェーン上に生命保険契約のシステムを構築することで、契約内容は改ざんできない状態で半永久的に残りますし、更新条件をシステムで自動化すれば、死亡情報を取得することで、遺族が行う複雑な手続きを全て自動化できるのです。
経済産業省が公開したユースケース

経済産業省は、ブロックチェーン技術活用のユースケースとして、以下の分野に分類しています。
・金融系:決済、為替、送金、貯蓄、証券取引など
・ポイント/リワード:ギフトカード交換、アーティスト向けリワード、プリペイドカードなど
・資産調達:アーティストエクイティ取引、クラウドファンディングなど
・コミュニケーション:SNS、メッセンジャーなど
・資産管理:bitcoinによる資産管理、土地登記等の公証
・ストレージ:データ保管
・認証:デジタルID、アート作品所有権、薬品の真贋証明など
・商流管理:サプライチェーン、トラッキング管理、マーケットプレイス、金保管など
・コンテンツ:ストリーミング、ゲーム
・将来予測:未来予測、市場予測など
・公共:市政予算の可視化、投票、バーチャル国家、ベーシックインカムなど
・医療:医療情報
・IoT:IoT、マイニング電球など
参照元:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内動向調査)
ブロックチェーン技術の活用事例

金融
金融では、ブロックチェーン技術を使った国際決済の高速化と利便性が期待されています。
現在の国際送金は、対象国の銀行口座へ送金する際、コネクションのある銀行までいくつもの銀行を経由するため、手数料と時間がかかります。
例えばIBM Blockchain World Wireでは、ブロックチェーンを使うことで「数日」かかる決済を「数秒」にまで短縮するし、経由する銀行も減らすことで手数料を削減する仕組みを実現します。
保険
保険では、全国の営業拠点や事務センターでブロックチェーン技術を導入し、保険申し込み書類の参照などの情報を共有します。
ブロックチェーンに格納されたデータは改ざんできないという特性で、信頼性を担保し、保険申込書類の確認業務を効率化する狙いです。
保険証券発行期間の短縮やセキュリティの確保などの効果が期待できます。
2018年2月には、三井住友海上火災保険株式会社と株式会社bitFlyerが協力し、実証実験を開始したことを公表しました。
参照元:三井住友海上
電力
電力では、電力融通に関する実証実験が、中国電力とIBMにより開始されています。
再生可能エネルギーの固定価格売買制度に、ブロックチェーン技術を基盤としたシステムを導入します。
簡単にいえば、電力が個人を仮想通貨のように売買する仕組みです。
参照元:中国電力株式会社
食品トレーサビリティ
食品トレーサビリティでは、食品に関する品質の管理や、健康被害発生時の原因究明に役立ちます。
商品を出荷する農家や加工業者・流通業者など、販売までに商品に係る業者をトレースすることで、食品から起きた健康被害の原因を、瞬時に判断できます。
これは、アメリカのWalmart Inc.(ウォルマート株式会社)とIBMが共同で行う、ブロックチェーン技術で食品の安全を担保する事例です。
不動産
不動産では、現状分散されている家賃情報を共有するため、ブロックチェーン技術を利用したプラットフォームを活用します。
不動産情報は、分散されたデータでは正確性が担保できないことや、業務の非効率化が不動産を求めるユーザーにとって不利に働くという問題があるのです。
これら問題を、ブロックチェーン技術を基盤とする不動産ポータルサイトで管理することで、データの透明性と正確性を担保する狙いです。
参照元:ブロックチェーン技術で物件情報を共有。不動産業確変への挑戦
教育
教育では、学位証明の発行にブロックチェーン技術を利用する動きがあります。
世界を見ると、学位の公証は紙ベースで行われていることや、学位公証の不正が横行しているという問題があります。
この問題を解決するために、公証をブロックチェーンで管理し、発行者や所有者(公証取得者)を明示することで、公証に信頼性を持たせます。
例えば、マレーシアには学歴詐称の問題が深刻です。
そこで、マレーシア国内の大学では、ブロックチェーン技術を利用して学位を証明する「e-Scroll」というシステムが発表されています。
ブロックチェーンに記録された所有権を改ざんすることはできませんし、不正も不可能です。
公証に対して所有権を付け、ブロックチェーンで管理することで、公証の査証が不可能になるでしょう。
ブロックチェーン技術者の将来性

IT技術者の中でも、ブロックチェーン技術者はまだまだ人材不足です。
始まったばかりの技術だといっても過言ではありませんし、ブロックチェーンを利用したサービスも、まだまだ実証実験の段階です。
しかし、ブロックチェーン技術が活躍する分野は多岐に渡り、その需要は増えることが予想されます。
例えば、著作権や所有権を持つコンテンツを、正確にトレースできるようになれば、デジタルコンテンツの再販(二次販売)も可能になるかもしれません。
ブロックチェーン技術を基盤としたシステムが、があらゆるマーケットを活性化させることも考えられます。
ブロックチェーン技術者としてのスキルをより早く習得することで、技術者としての将来性や、事業者としての将来性も期待できる分野です。
まとめ

ブロックチェーンの事例は、現行の世の中のシステムを置き換えることから始まります。
特にデジタルコンテンツの目に見えない証明を、確固たるものとすることで、コンテンツ製作者もデジタルコピーという障害がなくなります。
食品の安全を守れたり、国際決済を安く、高速にすることも実現します。
ブロックチェーン技術は、デジタルの世界と物質の世界を橋渡しするインフラとして普及するのではないでしょうか。
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