FoodTech(フードテック)の有名企業5社を紹介!各社の食×テクノロジーの取り組みを転職エージェントが解説します
生産から物流に至るまで、IT技術(Tech)の導入で「食」(Food)の新たな産業やビジネスを創出するフードテック(FoodTech)。IT技術の進歩と共に多くのフードテック関連の企業が急成長を遂げており、求人案件も増加しています。そこで今回はフードテックの有名企業・5社の食×テクノロジーの取り組みについて解説します。
目次
フードテック企業が急成長している理由は?
フードテック関連企業が急成長する背景には「食」に関するさまざまな問題があります。
有名企業を紹介する前にまずはフードテックの主なメリットについて解説しましょう。
人材不足の解消
フードテックの導入による大きなメリットは人材不足を解消することです。
有名な例としてUber Eatsが挙げられます。
これはスマートフォンの位置情報を活用したシステム構築により外部の配達員(パートナー)をマッチングさせます。
これにより飲食店における人材不足を解消しています。
また、フードテックはBtoCだけでなく、BtoBの領域でも導入が進んでいます。
生産者にとっては生産物や出荷先の情報を一元管理でき、飲食店にとっては卸業者に即座に注文できます。
これによってともに管理コストの削減が可能になるのです。
またこれだけでなく後述する食品ロス解消というメリットもあります。
食品ロスの解消
食品ロスとは食べられる食品が廃棄されてしまう問題です。
これは食品の過剰な生産や需要量とのミスマッチによって引き起こされます。
さらに先進国では食品ロスが問題となる一方で、アフリカなどの発展途上国では食糧不足が問題となっています。
諸外国では食糧問題が深刻な地域もあり、食糧の偏在によっておこる食品ロスと飢餓は世界的な課題となっているのです。
日本で食べられるのに廃棄される食品は、平成29年の調査で年間612万tにもなっています。
こうした問題に取り組むためにフードテックが注目を集めているのです。
小売店・飲食店側は、フードテックの導入により消費者の需要が把握できるようになります。
それにより過剰生産(作り置き)を抑えられます。
食材等の購入量も適量に近づけられるため、生産者側の過剰供給を抑えて食品ロスを解消することができるのです。
市場規模は2050年までに10倍に成長する見込み
これらの背景から、フードテックの市場規模は2050年までに279兆円規模に成長すると見込まれています。
農林水産省によれば2020年時点では市場規模は24兆円であり、30年間で10倍以上に拡大するという事です。
比較として、食品の既存市場では2020年に234兆円、2050年には493兆円の予測となっており、これはおよそ2倍の成長です。
いかにフードテックが急速な拡大を見込まれているかが分かります。
フードロス対策がSDGsで掲げられている目標のひとつである事からも、国を上げた後押しは今後も続くでしょう。
参考:農林水産省『フードテックに係る市場調査』
フードテックの概要を知りたい方はこちらもご確認ください。
FoodTechはベンチャー企業が多い?
創業2~5年程度のベンチャー企業が躍進するケースが多いですが、大手企業が参入する例もあります。
現在では生産から卸、小売(配達)に至るまでフードテックは食品のさまざまな分野に導入されています。
フードテックに取り組む大手企業が気になる方は、こちらの記事もおすすめです。
流通分野の注目企業
株式会社フーディソン
株式会社フーディソンは、2013年に創業した企業です。
水産業に着目した取り組みとはどういったものなのか解説します。
どんな会社?
「世界の食をもっと楽しく」をミッションとして掲げており、生産流通のプラットフォーム構築を事業の主軸としています。
企業所在地は東京都中央区で資本金は1億円(2020年4月現在)。従業員数は139名(平均年齢は33.0歳)です。
また東京・大田市場の仲卸企業「フーディソン大田」を完全子会社として有しています。
フーディソンの取り組みとは?
株式会社フーディソンが展開する事業は主に3つあります。
そのメインとなるのが中小飲食店向けの鮮魚注文Webサービス「魚(うお)ポチ」です。
「魚ポチ」は卸売市場の在庫データだけでなく当日に産地で水揚げされた魚のデータをデータベースとして持っています。
そのためユーザー(飲食店)は欲しい量の鮮魚をPCやスマホで即座に注文できます。
ITによってサプライとニーズを直結し、食品ロスを削減している良い見本例です。
また、同社では産地直送の魚などを扱うセレクトショップ「sakana bacca」を展開し、都内に4店舗を出店中です。
そのほか鮮魚加工技術に特化した人材紹介・派遣のキャリア事業「さかな人材バンク」も行っています。
飲食店・消費者・企業とさまざまなアプローチでフードテックを導入している企業です。
外食分野の注目企業
株式会社Showcase Gig
2012年設立の株式会社Showcase Gig(ショーケースギグ)は「テクノロジーで日常の消費体験を変える」をミッションとしている企業です。
モバイルプラットフォーム事業を手がける同社の取り組みを解説します。
どんな会社?
企業とユーザーの接点(チャネル)を連携させるオムニチャネルや、急速に普及したモバイル決済分野で実績がある企業です。
企業所在地は東京都港区北青山で資本金は約6億円。従業員数は93名です。
設立以降は事業パートナーを着実に増やしており、現在ではNTTドコモ・JR東日本・JCBなどの企業と業務提携しています。
Showcase Gigの取り組みとは?
株式会社Showcase Gigが注力しているのが、モバイルプラットフォーム「O:der」です。
消費者が事前にスマートフォンで注文・決済を済ませ、フード店舗ですぐに商品が受け取れるシステムです。
このシステムを利用することで消費者側は「待ち時間が要らない」「好きな時間に取りに行ける」といったメリットがあります。
また店舗側では混雑時の商品提供がスムーズになるほか、事前に需要が分かるため食品ロスを削減できます。
2013年にスタートした「O:der」は多くのメディアで取り上げられるほど注目を集めました。
ファーストキッチンウェンディーズなどの大手チェーンストアがこれを採用し、2020年2月には「吉野家」が全国店舗で導入しています。
中小飲食店でも導入事例が増えており、今後はモバイル決済の定番プラットフォームとなることが期待されています。
【GeeklyReview】Showcase Gigの口コミを見る
Uber Eats
Uber Eatsはコロナ渦による巣ごもり需要で日本国内でも急速に知名度を上げた企業です。
配達員のアウトソーシング化を実現したその取り組みについてみてみましょう。
どんな会社?
アメリカ・サンフランシスコを拠点に、全世界14か国に進出しているUber Eats(ウーバーイーツ)。
主な事業であるオンライン配達サービスは国内でも急成長しており、2020年には対応エリアが28都道府県に
拡大しました。フードテック関連では最も注目を集めている企業と言えます。
Uber Eatsの取り組みとは?
Uber Eatsが提供しているのが、消費者がスマホアプリを使って出前を注文し自宅まで配達してもらうシステムです。
これまでの出前サービスと異なるのがスマホの位置情報を活用して配達員をアウトソーシングしたところです。
これにより飲食店側はマンパワーを削減できるほか、繁忙期における配達員(人材)の確保が容易になります。
一方で配達員側は空いた時間を活用して副業ができるメリットがあります。
国内のさらなる高齢化や兼業に対する需要を考えれば今後の伸びしろが十分にある企業です。
調理分野の注目企業
シャープ株式会社(ヘルシオデリ)
老舗の電機メーカーとして知られるシャープ株式会社もフードテック事業に携わっています。
異業種の大企業が生み出したフードテック事業とはどのようなものなのか解説します。
どんな会社?
1912年の創業後、戦後から現在までの日本市場を牽引してきた企業のひとつです。
国内企業で初の電子レンジを発売したほか、液晶画面を用いた電卓を開発するなど革新的な製品を生み出してきました。
意外と知られていないですがシャープは2017年から料理キット宅配サービスを提供してます。
このように異業種の大企業がフードテック業界に参入するケースは少なくありません。
転職先を探す際のひとつのポイントになるでしょう。
シャープの取り組みとは?
シャープ株式会社が展開しているのが「ヘルシオデリ」というWebサービスです。
脱油・減塩できるオーブンレンジ「ヘルシオ」や食材と調味料だけで調理できる鍋「ホットクック」向けの食材キットを提供します。
「ヘルシオ」と「ホットクック」はいずれもシャープの電機商品です。
中には有名シェフが監修した食材キットもあるため消費者にとっては外食クラスの料理を自宅で味わうことができます。
FoodTechによって、企業のもともとの得意分野(電機)に新たに付加価値を付けたケースといえます。
農業分野の注目企業
株式会社ファームノート
株式会社ファームノートは畜産業界のフードテック企業として有名な企業です。
アナログな世界だった畜産業界にIT技術を導入した取り組みを解説します。
どんな会社?
2013年にwebアプリ開発会社の新事業として北海道の帯広で創業された企業です。
東京・札幌・鹿児島にもオフィスを構えています。
同社の主力サービスが酪農・畜産向けの牛群管理アプリ「Farmnote」です。
現在同社はホールディングス化しており、2019年には約8.5億円の資金調達を実施しました。
フードテック業界の中では成長著しい企業のひとつです。
「世界の農業の頭脳を創る」という経営理念を掲げており今後世界進出していくことも期待できます。
株式会社ファームノートの取り組みとは?
同社が開発した「Farmnote」は、牧場内の牛群を管理するアプリケーションです。
牛の首にセンサを取り付けることで各個体の発情や分娩などの情報をPCで一括管理します。
これまでこれらの情報は紙の台帳に書き込んで管理されていました。
しかし頭数が増えればその分作業量も増え、台帳管理に多くの時間を割かなければなりません。
「Farmnote」は簡単なタッチ操作で入力することができるので大幅な作業の効率化を実現しました。
さらに「Farmnote」では各個体の状態だけでなく出荷日や出荷先の情報まで一元化できます。
そのため特に大規模牧場の管理負担を減らすアプリとして導入が進んでいます。
酪農業界にとっては人材不足やコスト増が大きな問題なだけに、今後も導入は全国規模で広がるでしょう。
フードテック導入により考えられる変化
製造分野の変化
食品の製造の領域では、フードロボットが普及すると考えられています。
注文を受け商品の提供までをロボットが行う飲食店はすでに登場しており、人為的なミスや衛生面の観点から今後さらに広がるでしょう。
ロボットアームをつかった調理や皿洗いはすでに導入も進んでいます。
また人口肉製造の領域では、フードテックによって新たな食品の開発が進められています。
大豆ミートは低糖質・低カロリー・高タンパクかつ美味しい食材として、スーパー等でも見かける事が増えました。
生産分野の変化
食品の生産現場では、効率化が進められています。
例えばドローンやクラウドなどの技術を使った広大な農地の管理や、農業者の負担軽減、リスクの削減といったさまざまな面でフードテックが活用されるようになって来ているのです。
労働力不足に多大な貢献が見込まれています。
流通分野の変化
ICT(情報通信技術)が需要と供給のマッチを劇的に向上させた事で、流通分野にも大きな変革が起こっています。
生産者も飲食店もニーズを的確に把握できるうえに、配送状況の確認も容易になりました。
開発分野の変化IT技術の進歩と共に多くのフードテック関連の企業が急成長を遂げて
新食材の開発は大豆肉だけではありません。
環境に優しく、栄養価も高い次世代食材を簡単に手に取れる商店も増えています。
今後は新たな商品開発だけでなく、さまざまなシーンへの活用やレシピ開発などを手掛ける企業も増えるでしょう。
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成長著しいフードテック企業にチャレンジしてみよう
食品業界は生産・小売の人材不足から食品ロスに至るまで、まだまだ問題が山積しています。
これらの問題を解決できるフードテック企業は需要が大きく、今後もさらなる成長が期待できる分野です。
世界のトレンドを追うように、日本でも徐々にフードテック企業が増えつつあります。
フードテック企業はITや工業系など幅広いスキルが活かせる分野です。
今後は求人案件がさらに増えることが予想されることから、これまで異業種で働いていた方にとっても狙い目といえます。
しかしどんな企業であれば自分のスキルが活かせるか分からない場合は転職エージェントにご相談ください。
今回ご紹介した企業だけでなくこれから急成長しそうなフードテック企業は多くあります。
自分のスキルを活かして社会に貢献するためにフードテック企業への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
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