
フードテックの企業紹介!注目の上場・スタートアップの事業内容は?
フードテック企業は食の課題をITで解決する成長産業です。本記事では大手上場企業から注目スタートアップまで、日本の主要企業の事業内容と将来性を解説します。年収アップやキャリア成長を目指し、自分に合う企業を見つけるための業界動向と選び方を参考にしてください。
目次
フードテック企業が急成長している理由は?市場拡大の背景
フードテックは、食糧危機や労働力不足といった社会課題を解決するため、今後数十年で市場規模が10倍になると予測される成長産業です。
安定した基盤で大規模開発に関われる「大手企業」と、最先端技術で市場を切り拓く「スタートアップ」、どちらもIT人材を強く求めている今、エンジニアにとってはスキルアップやキャリアアップの機会が豊富に用意されています。
まずは、フードテック業界の現在の市場動向から解説します。
市場規模は2050年までに10倍へ成長する見込みがあり将来性は抜群
フードテック市場は、代替肉・ロボット調理・食品サプライチェーンの最適化など多様な分野で技術革新が進み、2050年までに市場規模が現在の約10倍へ成長すると予測されています。
農林水産省の調査では、世界のフードテック市場規模は2020年の24兆円から、2050年には279兆円にまで拡大する見込みです。投資額では日本はまだ世界の上位10ヵ国には入っていないことから、市場への参入はまだこれから増大するでしょう。
人口増加に伴う食需要の拡大や持続可能な生産方式への転換が不可欠で、企業の投資も急増中です。
今後20~30年で新規事業や技術開発が一気に加速するため、若手IT人材にとって参入タイミングが最も魅力的な業界のひとつといえるでしょう。
(参考:経済産業省 四国経済産業局『フードイノベーション(フードテック)』)
世界的な「食糧不足・飢餓」と「食品ロス」への解決策として投資が集中
世界では人口増加により食糧不足が深刻化する一方、食品ロスは年間13億トンに達するとされ、持続可能な食の供給体制づくりが急務です。
この課題の解決策として、フードテックが大きな注目を集めています。生産効率化、サプライチェーン管理、需要予測AIなど、テクノロジーで食の社会課題を解決できる領域に投資が集中する傾向です。
社会貢献性が高く、成長性と使命感を両立できる業界として若手層からの関心も高まっています。
IT活用による人材不足の解消が急務でありエンジニア需要が高い
フードテック企業の多くは、AIによる生産最適化や、IoTを使った食品トレース管理、ロボット調理などITを中核としたビジネスモデルを展開しています。
しかし従来の食品業界はIT人材が不足しており、プロダクト開発・データ分析・機械学習エンジニアなど、幅広いポジションで即戦力ニーズが急増中です。
特に20〜30代のIT人材は、新技術に挑戦しやすくキャリア価値も高まるため、キャリアアップ目的での転職先として非常に有望でしょう。
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フードテックで解決できる日本の社会課題
日本では、大きく分けて次のような社会課題においてフードテックの効果が期待されています。
これらの課題も業界の市場規模拡大を後押ししています。フードテック業界へ転職する前に確認しておきましょう。
【食糧不足・飢餓】代替タンパク質や陸上養殖の技術
日本では人口減少が進む一方、漁獲量の減少や畜産コストの高騰により、安定したタンパク源の確保が大きな課題になっています。
そこで注目されているのが、植物肉・培養肉などの代替タンパク質、および閉鎖循環式の陸上養殖技術です。これらは環境負荷が低く生産量を安定化できるため、持続可能な食料供給に直結します。
技術開発にはIT活用が不可欠で、アルゴリズムによる生育管理や自動化システムなど、エンジニアが活躍できる領域が急速に拡大しています。
【食の安全性】トレーサビリティと品質管理のDX
国内でも食の偽装問題やアレルゲン情報の不備などが社会問題化しており、食品の安全性を「データで保証する仕組み」が求められています。
そこで広がるのが、ブロックチェーンやIoTを活用したトレーサビリティ管理と、AIによる品質検査のDXです。
原材料から消費者の手元に届くまでの全工程をデジタルで追跡でき、異常検知も自動化できるため、事業者の信頼性向上にも寄与します。
食品×ITの領域で、システム開発・データ分析の需要が高まっています。
【フードロス】需給予測AIと流通の最適化
日本の食品ロスは年間500万トン規模と言われ、企業のコスト負担や環境負荷が深刻です。
その解決策として、AIによる需要予測や在庫・物流の最適化プラットフォームの普及が進んでいます。
天候・イベント・商圏データなどを掛け合わせて販売数を精緻に予測し、廃棄を最小化できるほか、サプライチェーンをリアルタイムで可視化し適正量のコントロールも可能です。
データエンジニアや機械学習エンジニアが力を発揮しやすい領域で、IT人材のニーズも急拡大しています。
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フードテックの上場・大手企業6社
フードテック(FoodTech)は、新しい食分野におけるテクノロジーです。近年の、持続可能な開発目標であるSDGsへの興味関心の高まりに伴い、他業界の上場・大手企業もフードテック領域に参入しています。
- ・オイシックス・ラ・大地株式会社
- ・シャープ株式会社(ヘルシオデリ)
- ・日清食品ホールディングス株式会社
- ・株式会社出前館
- ・Uber Eats
- ・株式会社NTTデータ
まずは、これらの上場・大手企業について事業内容や取り組みを解説します。
オイシックス・ラ・大地株式会社
オイシックス・ラ・大地株式会社はウェブサイトやカタログによる一般消費者への有機野菜、特別栽培農産物、無添加加工食品等、安全性に配慮した食品・食材の販売を行う企業です。
2000年創立、東京都品川区に本社を置きます。従業員数は2,093名で平均年齢は41.3歳、資本金は3,995百万円です。(2024年現在)
オイシックス・ラ・大地株式会社が展開する事業
個人のクライアント向けに、「食品宅配」を中心とした事業展開を行っています。以下の3つは食品宅配事業ブランドです。
・Oisix:ミールキット「Kit Oisix」などを、インターネットや実店舗にて提供
・大地を守る会:有機農産物の宅配システム
・らでぃっしゅぼーや:有機野菜、無添加食品、日用品等などを届ける会員制宅配サービス
また、植物肉のベンチャー企業であるグリーンカルチャー株式会社と資本提携し、「グリーンミート」を共同開発しています。
グリーンミートとは大豆たんぱくを原料とした動物性原料不使用の植物肉であり、ヘルシーかつ動物性の食べごたえがある代替肉で、新時代の新しい肉として注目を浴びています。
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シャープ株式会社(ヘルシオデリ)
シャープ株式会社は、国内企業で初の電子レンジを発売したほか、液晶画面を用いた電卓を開発するなど革新的な製品を生み出してきました。
1912年創業、大阪府堺市に本社を置きます。資本金は50億円、従業員数は46,206名で、平均年齢は45.9歳です。(2024年現在)
シャープ株式会社が展開する事業
シャープ株式会社が展開しているのが「ヘルシオデリ」というWebサービスです。
脱油・減塩できるオーブンレンジ「ヘルシオ」や食材と調味料だけで調理できる鍋「ホットクック」向けの食材キットを提供します。
「ヘルシオ」と「ホットクック」はいずれもシャープの電機商品です。
中には有名シェフが監修した食材キットもあるため消費者にとっては外食クラスの料理を自宅で味わうことができます。
FoodTechによって、企業のもともとの得意分野(電機)に新たに付加価値を付けたケースといえます。
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日清食品ホールディングス株式会社
日清食品ホールディングス株式会社は「見た目やおいしさはそのままに、カロリーや塩分、糖質、脂質などがコントロールされ、必要な栄養素を全て満たす食」をコンセプトとした事業を行っています。
1958年創立、本社を東京都新宿区に置きます。資本金は251億2200万円、従業員数は16,509名(連結)で、平均年齢は40.3歳です。(2024年現在)
日清食品ホールディングス株式会社が展開する事業
インスタントフードなどで培った技術を応用し、独自かつ最先端のフードテクノロジーを駆使した「完全栄養食」プロジェクトを推進しています。
この完全栄養食とは、見た目や味はそのままで、栄養素は日本人の食事摂取基準で設定された必要な33種類の栄養素をバランスよく全て摂取できる食事です。
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株式会社出前館
会社概要全国の出前、デリバリー店に注文できる、デリバリー総合サイトを運営する企業です。
1999年創立、東京都渋谷区に本社を置きます。資本金は1億円、従業員数は328名で、平均年齢は35歳です。(2024年現在)
株式会社出前館が展開する事業
株式会社出前館はスマートフォンアプリやサイトから簡単に注文可能であり、様々な食事シーンで活用可能なフードデリバリーサービスが事業の核です。
また、「食」ビジネス、IT情報など飲食業界のトレンド情報を発信する総合メディア『フードテック総研』をローンチしています。
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Uber Eats
アメリカ・サンフランシスコを拠点に、全世界14か国に進出しているUber Eats(ウーバーイーツ)は、主な事業であるオンライン配達サービスは国内でも急成長しており、2020年には対応エリアが28都道府県に拡大しました。
2014年創立、日本では東京都渋谷区にUber Eats Japan合同会社本社を置きます。資本金は11,249,000千円、従業員数は30,400名です。(2024年現在)
Uber Eatsが展開する事業
Uber Eatsが提供しているのが、消費者がスマホアプリを使って出前を注文し自宅まで配達してもらうシステムです。
これまでの出前サービスと異なるのがスマホの位置情報を活用して配達員をアウトソーシングしたところです、これにより飲食店側はマンパワーを削減できるほか、繁忙期における配達員(人材)の確保が容易になります。
一方で配達員側は空いた時間を活用して副業ができるメリットがあります。
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株式会社NTTデータ
官公庁や自治体、金融機関などさまざまな業種の企業へ向けた、情報システムの構築を行っている日本のシステムインテグレータであり、情報サービス事業で業界最大手企業です。
1988年創立、東京都江東区に本社を置きます。資本金は1,425億2,000万円、従業員数は195,100名、平均年齢は39歳です。(2024年現在)
株式会社NTTデータが展開する事業
NTTデータでは、食の未来を予見・創造し、「食✕テクノロジー」で食品メーカーとともにデジタル化を推進していくため、下記の取り組みを行っています。
- ・Food&Wellness(生活者接点)
- ・Food Innovation(研究・商品開発)
- ・Customer Driven Supply(サプライチェーン)
【あわせて読みたい】株式会社NTTデータの組織についてのインタビューはこちら⇓
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フードテックのスタートアップ企業4社
フードテック業界の注目のスタートアップ企業は次の4社です。
- ・株式会社フーディソン
- ・株式会社ビビッドガーデン
- ・株式会社Showcase Gig
- ・株式会社ファームノート
以下それぞれの企業の事業内容と、フードテック業界に興味がある方向けに自分に合う求人を見つける方法をご紹介します。
株式会社フーディソン
「世界の食をもっと楽しく」をミッションとして掲げており、生産流通のプラットフォーム構築を事業の主軸としています。
2013年創立、東京都中央区に本社を置きます。資本金は1億円、従業員数は139名で平均年齢は33.0歳です。(2024ねn)
また東京・大田市場の仲卸企業「フーディソン大田」を完全子会社として有しています。
フーディソンが展開する事業
株式会社フーディソンが展開する事業は主に3つあります。
そのメインとなるのが中小飲食店向けの鮮魚注文Webサービス「魚(うお)ポチ」です。
「魚ポチ」は卸売市場の在庫データだけでなく当日に産地で水揚げされた魚のデータをデータベースとして持っています。そのためユーザー(飲食店)は欲しい量の鮮魚をPCやスマホで即座に注文できます。
ITによってサプライとニーズを直結し、食品ロスを削減している良い見本例です。
また、同社では産地直送の魚などを扱うセレクトショップ「sakana bacca」を展開し、都内に4店舗を出店中です。
そのほか鮮魚加工技術に特化した人材紹介・派遣のキャリア事業「さかな人材バンク」も行っています。
飲食店・消費者・企業とさまざまなアプローチでフードテックを導入している企業です。
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株式会社ビビッドガーデン
株式会社ビビッドガーデンは農業が抱える課題に挑むITのスタートアップです。
平成28年創立、東京都港区に事務所を置きます。従業員数は18名で平均年齢は31.0歳、資本金は842,024,200円です。(2024年現在)
株式会社ビビッドガーデンが展開する事業
産直通販プラットフォームを主軸に事業を展開しており、サービス企画・業務設計、資金調達などの経営企画分野を担います。
全国の生産者から食材や花等を直接購入できる産直通販サイト「食べチョク」の運営を行っている企業です。
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株式会社Showcase Gig
株式会社Showcase Gigは、飲食店における集客・省人化、キャッシュレス化、CRMなど飲食小売業のデジタル化をサポートするソフトウェア・パッケージを提供しています。
2012年創立、東京都渋谷区に本社を置きます。資本金は10,000,000円、従業員数は約100名で平均年齢は32歳です。(2024年現在)
株式会社Showcase Gigが展開する事業
モバイルオーダーシステム「O:der ToGo」、セルフオーダーシステム「O:der Platform」、次世代券売機「O:der KIOSK」というプロダクトを展開しています。
2021年1月に資本業務提携を行ったグローリー株式会社を引受先とする、第三者割当増資を2022年12月2日に実施しました。
本件は、グローリーとの連携強化により、飲食店向け事業の拡大を目指しています。(※第三者割当増資:特定の第三者に株式を有償で引き受けてもらうことで資金を調達する手法。)
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株式会社ファームノート
現在同社はホールディングス化しており、2019年には約8.5億円の資金調達を実施しました。「世界の農業の頭脳を創る」という経営理念を掲げる企業です。
2013年創立、北海道帯広市に本社を置きます。資本金は9000万円、従業員数は75名、平均年齢は35歳です。(2024年現在)
株式会社ファームノートが展開する事業
同社の主力サービスである酪農・畜産向けの牛群管理アプリ「Farmnote」は、牧場内の牛群を管理するアプリケーションです。
牛の首にセンサを取り付けることで各個体の発情や分娩などの情報をPCで一括管理します。
これまでこれらの情報は紙の台帳に書き込んで管理されていました。しかし頭数が増えればその分作業量も増え、台帳管理に多くの時間を割かなければなりません。
「Farmnote」は簡単なタッチ操作で入力することができるので大幅な作業の効率化を実現しました。
さらに「Farmnote」では各個体の状態だけでなく出荷日や出荷先の情報まで一元化できます。そのため特に大規模牧場の管理負担を減らすアプリとして導入が進んでいます。
酪農業界にとっては人材不足やコスト増が大きな問題なだけに、今後も導入は全国規模で広がるでしょう。
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自分に合うフードテック企業を選ぶためのポイント
自分の希望に合うフードテック企業は、自分のスキルや志向性とのマッチ度を見て検討するのがおすすめです。
ここでは、企業の選び方について解説します。
「安定性」か「裁量権」か:大手とスタートアップの働き方の違い
フードテック業界には大手食品メーカーが展開する研究開発部門から、急成長中のスタートアップまで幅広い選択肢があります。
大手企業は安定した環境・豊富な資金・整った福利厚生が魅力で、長期的に専門性を磨きたい方に向いています。
一方で、スタートアップは裁量権が大きく、技術選定や新規サービス開発に深く関われる点が強みで、スピード感のある成長や挑戦を求めるIT人材には最適です。
自身のキャリア観に合わせて選択しましょう。
もしも考え方がまとまらない方は、一度転職のプロへのキャリア相談がおすすめです。
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「解決したい課題」とのマッチング:興味のある技術領域で選ぶ
フードテックは「代替タンパク質」「食品ロス削減」「サプライチェーンDX」「ロボット調理」など多様な分野に広がっています。
企業を選ぶ際は、自分がどの社会課題に向き合いたいかを軸にするとミスマッチが起こりにくくなります。
また、AI、IoT、ブロックチェーン、ロボティクスなど、自身のスキルと伸ばしたい技術領域が企業の強みと一致しているかも重要です。
興味・技術・価値観の重なる企業こそ、長期的に成長できる環境です。
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