ゲームテスターとはどんな仕事？きついと言われる理由や転職方法
この記事では、ゲームテスターについて解説します。「きつい」「やめとけ」と言われることもあるゲームテスターの仕事ですが、向いている人にはゲーム業界でのキャリアの第一歩としておすすめです。仕事内容や、転職の具体的な準備などを確認しておきましょう。
目次
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ゲームテスターとは？仕事内容と役割を解説
ゲームテスターとは、開発段階にあるゲームをプレイし、不具合（バグ）や問題点がないかを確認する品質管理の専門家です。
製品が市場に出る前に、ユーザーが快適に楽しめる体験を保証する重要な責務を担っています。
以下、ゲームテスターの仕事に関して知っておきたい概要です。
- ・主な仕事内容
- ・デバッガーとの役割の違い
- ・QAとの役割の違い
ここでは、ゲームテスターの主な仕事内容や混同しやすい職業との違いを解説します。
主な仕事内容
ゲームテスターの業務は、製品の品質を確保するための重要な検証作業で成り立っています。
主な業務は、以下の3つです。
仕様通りか確認する
ゲームテスターの重要な仕事の一つに、ゲームが設計書通りに作られているかを確認することが挙げられます。
キャラクターの能力値や技の効果、アイテムの性能、ストーリーの分岐条件など、仕様書に記載されたあらゆる項目を一つひとつ検証します。
開発者が意図した通りのゲーム体験が実現されているかを確認する、品質保証の根幹をなす工程です。
操作性を確認する
仕様通りの動作が確認できたら、次にユーザー体験（UX）の核となる操作性を評価します。
コントローラーやキーボードの反応速度、メニュー画面の分かりやすさ、キャラクター操作の直感性など、プレイヤーがストレスなくゲームに没頭できるかを多角的にチェックします。
ゲームがプレイヤーの期待に応える「心地よい」操作感になっているかを適切に評価する力が求められます。
不具合を報告し再テストを行う
不具合を発見した場合、テスターはそれを開発者が正確に理解し、修正できるよう詳細なレポートを作成します。
バグが発生した状況や場所を、誰が読んでも実行できるよう具体的かつ論理的に記述する能力が必要です。
開発チームが修正を行った後、テスターは同じ箇所を再度テストし、不具合が解消されたこと、そして修正によって新たな問題が発生していないことを確認します。
デバッガーとの役割の違い
ゲームテスターとデバッガーは混同されがちですが、役割には明確な違いがあります。
ゲームテスターは「不具合を発見し、報告する」専門家であるのに対し、デバッガーは「報告された不具合の原因をプログラムコードレベルで特定する」専門家です。
テスターがユーザー視点で「何が起きるか」を検証するのに対し、デバッガー（多くはプログラマーが兼任）は開発者視点で「なぜ起きるか」を追究します。
ただし、企業の規模やプロジェクトによっては役割の境界が曖昧な場合もあり、求人に応募する際は職務内容をよく確認することが重要です。
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QAとの役割の違い
QA（QualityAssurance：品質保証）は、ゲームテスターよりもさらに広範な概念です。
ゲームテスターがテスト計画に基づいて「テストを実行する」役割であるのに対し、QAエンジニアやQAマネージャーは、「品質保証プロセス全体を計画・管理する」役割を担います。
具体的には、テスト戦略の立案、品質基準の策定、テストスケジュールの管理、テストチーム全体の監督など、プロジェクトの品質を上流工程から担保する活動が中心です。
テスターが品質問題を発見する「実行部隊」だとすれば、QAは品質を確保するための「司令塔」という役割分担をしています。
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ゲームテスターに必要なスキル
ゲームテスターは未経験者でも可能ですが、プロフェッショナルとして高いパフォーマンスを発揮するためには、以下のようなスキルセットが求められます。
- ・注意力
- ・コミュニケーションスキル
- ・集中力や忍耐力
- ・問題解決能力
ここからは、それぞれの必要な理由について具体的に解説します。
注意力
プロのテスターに求められる注意力とは、一般のプレイヤーであれば気づかないような、ごくわずかな異常を検知する能力です。
- ・キャラクターの鎧のテクスチャが特定のアニメーション中に一瞬だけ体を貫通する
- ・背景の木の葉が一枚だけ不自然に揺れている
上記のような微細なグラフィックの乱れを見抜く鋭い観察力が求められます。
ゲームの世界を漫然と眺めるのではなく、構成する全ての要素を疑いの目で監視することが大切です。
コミュニケーションスキル
発見した不具合を開発チームに正確に伝えるコミュニケーションスキルは、テスターの価値を決定づける重要な能力の一つです。
報告が不十分だと、開発者の貴重な時間を浪費させる原因となります。
「特定のマップで、特定の武器を装備し、特定のスキルを使用すると100%の再現性でクラッシュが発生する」
上記のように、具体的かつ論理的な情報を提供できる文書作成能力が求められます。
集中力や忍耐力
ゲームテストは、地道で反復的な作業の連続です。
マップ上の全ての壁に体当たりして衝突判定の漏れがないかを確認したり、アイテムのドロップ率が仕様通りかを確認するために同じ敵を何百回も倒し続けたりといった作業も珍しくありません。
このような単調なタスクを、注意力を切らすことなく長時間続けられる集中力と忍耐力が不可欠です。
問題解決能力
再現性の低い厄介な不具合に遭遇した際、ゲームテスターには論理的思考に基づく問題解決能力も求められます。
「この不具合は、特定のアイテムを所持している時にのみ発生するのではないか」といった仮説を立て、証明または反証するためのテストを自ら設計し、実行しなければなりません。
単に問題を発見するだけでなく発生条件まで具体的に絞り込むことで、開発チームが原因を特定する時間を大幅に短縮させることに貢献することが求められます。
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ゲームテスターが「きつい」「やめとけ」と言われる理由
ゲームテスターの仕事は、多くの魅力がある一方で、「きつい」「やめとけ」といった厳しい評判も存在します。理由を深く理解することは、この仕事への適性を判断する上で不可欠です。
- ・単調なタスクを繰り返すため
- ・作業が長時間にわたるため
- ・厳しい締め切りに追われることもあるため
以下、ゲームテスターが「きつい」「やめとけ」と言われる上記のような理由について具体的に解説します。
単調なタスクを繰り返すため
ゲームテスターが「きつい」と感じる理由の一つに、業務の大部分が単調な反復作業である点が挙げられます。
例えば、キャラクターを壁に向かって延々と走らせ続けたり、同じキャラクターに数百回話しかけてセリフのパターンを網羅したりといった作業は、強い忍耐力が求められます。
忍耐力がない人の場合、「きつい」と感じてモチベーションの維持が困難になることもあるでしょう。
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作業が長時間にわたるため
ゲームテスターは、1日の大半をモニターの前で過ごすうえ、高い集中力を維持し続ける必要があります。
特に、画面の隅々まで注意を払う作業は、目・首・肩などに大きな物理的負担をかけることになるでしょう。
加えて、他の職種のようにタスクを切り替えて気分転換を図ることが難しく、一つの作業に長時間没頭する必要があります。
長時間の集中によって心身が疲弊することで、「きつい」と感じる人も少なくありません。
厳しい締め切りに追われることもあるため
ゲーム開発において、テスト工程はプロセスの最終段階に位置します。そのため、上流工程である企画・プログラミング・デザインなどで発生した遅延は、すべてテストチームにしわ寄せされます。
一方で、ゲームの発売日という最終的な締め切りは固定されていることがほとんどです。
結果として、テスト期間が圧縮され、リリース直前には「クランチ」と呼ばれる極端な長時間労働を強いられる可能性はゼロではありません。
限られた時間の中で全ての重大なバグを発見しなければならないというプレッシャーは、非常に大きなストレスとなり得るでしょう。
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ゲームテスターに向いている人の特徴
ゲームテスターという職務は、単にゲームが好きというだけでは務まらない、プロフェッショナルとしての適性があります。
- ・ジャンルにこだわらずゲームが好きな人
- ・単調作業や長時間労働に耐えられる人
- ・確認しながら作業を進められる人
ここでは、上記のような特徴を持つ人がなぜこの分野で成功しやすいのかを含め、具体的に解説します。
ジャンルにこだわらずゲームが好きな人
ゲームテスターは、担当するゲームのジャンルを自分では選べないケースがほとんどです。
あるプロジェクトはRPG、次のプロジェクトではレースゲーム、その次はパズルアプリなど、多種多様な案件に対応する必要があります。
特定のジャンルにしか興味がないと、不得手なゲームを担当した際にモチベーションを維持することが難しくなります。
そのため、ゲームそのものの構造やメカニクス、システム設計といった本質的な部分に知的好奇心を持てる方が、この仕事に向いているでしょう。
単調作業や長時間労働に耐えられる人
ゲームテスターの仕事は、地道で反復的な検証作業がほとんどです。
そのため、同じ操作を黙々と繰り返すことに苦痛を感じず、むしろプロセスの中に達成感を見出せる方が適しています。
一つひとつのタスクを確実にこなしていくことに集中できる、職人的な気質が重要です。単調な作業に対する忍耐力がある方は、優れたゲームテスターにはなれる素質があるでしょう。
確認しながら作業を進められる人
ゲームテスターは、常にチェックリストと向き合わなければなりません。「正常に動いているように見える」だけで満足することなく、チェックリストに基づいて一つひとつ丁寧な確認作業を行う必要があるためです。
また、万が一仕様書の記述に曖昧な点があれば、自己判断で進めるのではなく、必ず開発者に質問して意図を明確にする必要があります。
このように、慎重に確認しながら作業を進める姿勢は、見落としを防ぎ、製品の品質を保証する上で不可欠な要素です。
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未経験からゲームテスターとして働く方法
ゲームテスターは、ゲーム業界への入り口として未経験者にも門戸が開かれている職種の一つです。特別な学歴や資格が必須ではないため、意欲と適性があればキャリアを進められます。
未経験からゲームテスターとして働く主な方法として、以下2つのルートが考えられます。
- ・ゲーム制作会社やデバッグサービス会社に転職する
- ・短期のゲーム開発案件に参加する
ここからは、それぞれ具体的に解説します。
ゲーム制作会社やデバッグサービス会社に転職する
ゲームテスターとして働くには、大きく分けて2つの雇用形態があります。
一つは、大手のゲーム開発会社に直接雇用されるケースです。この場合、一つのプロジェクトに深く関わり、開発チームの一員として貢献できます。
もう一つは、デバッグを専門に請け負う第三者企業に所属するケースです。さまざまなクライアントから多種多様なゲームのテスト案件を受注するため、幅広い経験を積めます。
特にデバッグサービス会社は未経験者向けの求人が多く、業界への第一歩として現実的な選択肢です。
短期のゲーム開発案件に参加する
短期のゲーム開発案件に参加するのも手段の一つです。
製品リリースの最終段階でテスト人員を増強する傾向があることから、短期のアルバイトや契約社員を募集しているゲーム会社は少なくありません。
これらの案件は、数週間から数ヶ月単位のものが多く、プロジェクトの佳境を体験できる貴重な機会です。
雇用形態は不安定ですが、未経験者が実務経験を積み、自身の適性を見極めるためには適切な方法の一つでしょう。
短期案件で優れたパフォーマンスを発揮すれば、次のプロジェクトや正社員登用への道が開ける可能性も十分にあります。
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ゲームテスターにおすすめの資格
ゲームテスターになるために必須の資格はありませんが、特定の資格を取得することで自身のスキルを客観的に証明でき、キャリアアップを有利に進められます。
また、資格取得の学習を通じて得られる体系的な知識は、実務の質を向上させるだけでなく、より専門的な職種へのステップアップの足がかりとなるでしょう。
- ・マイクロソフトオフィススペシャリスト（MOS）
- ・IT検証技術者認定試験
- ・JSTQB認定テスト技術者資格
- ・ソフトウェア品質技術者資格認定
これらのゲームテスターにおすすめの資格について、以下解説します。
マイクロソフトオフィススペシャリスト（MOS）
不具合報告書の作成やテスト項目の管理には、ExcelやWordが使用されるケースが多いため、MOSはテスターにとって非常に実用的な資格です。
MOS資格は、報告に必要なツールを効率的に使いこなし、分かりやすく整理された報告書を作成できる能力の証明となります。
ゲームテスターの重要な責務である正確な情報伝達スキルを客観的に示す資格として、プロフェッショナルな姿勢をアピールできるでしょう。
IT検証技術者認定試験
IT検証技術者認定試験（IVEC）は、ソフトウェアテスト技術者のための国内の認定資格です。
テストの実行といった基礎的なレベルから、エバンジェリストレベルまで5段階のレベルが設定されており、自身のスキルレベルに応じて挑戦できます。
この資格は、単なる作業者ではなく、専門分野の知識を持った技術者であることを示すために役立ちます。
ゲーム業界だけでなくIT業界全般で通用するため、キャリアの幅を広げる上でも有益な資格でしょう。
JSTQB認定テスト技術者資格
JSTQB認定テスト技術者資格は、ソフトウェアテストに関する国際的な標準資格であり、世界中で通用します。
この資格を取得することで、テスト設計技法や専門用語など、体系的な知識を身につけていることを証明可能です。
特に、テストのプロフェッショナルを目指す上で重要な資格と位置づけられており、多くの企業で取得が推奨されています。
ゲームテスターからQAエンジニアといった、より上流の工程を目指すための確かな一歩となるでしょう。
ソフトウェア品質技術者資格認定
この資格は、ソフトウェアの品質全般に関する高度な知識を問うもので、品質管理の専門家を目指すための資格です。
合格率が低い難関資格として知られており、取得すれば品質保証分野における高い専門性を示すことができます。
エントリーレベルのテスターがすぐに目指すものではありませんが、将来的に品質管理のリーダーやマネージャーといったキャリアを歩みたい場合は、長期的な目標として視野に入れておくとよいでしょう。
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ゲームテスターの将来性
ゲームテスターは、市場の需要・AI技術の進化・キャリアパスの多様性という3つの観点から見て将来性のある仕事だとされています。
市場のニーズは安定しており、ゲーム業界の成長とともに高品質な製品への要求は高まる一方です。バグのない快適なプレイ体験はユーザーにとって当たり前の基準となり、それを保証するテスターの重要性は今後も増していくと考えられます。
クラッシュテストのような単純で網羅的な検証は、今後AIが担うようになるでしょう。その結果、人間はAIには判断できない「ゲームの面白さ」「操作感の心地よさ」「世界観への没入感」といった、より高度で感覚的な品質評価に集中できるようになります。
またゲームテスターは、キャリアパスも豊富です。テスターとして培った経験は、品質管理チームを率いるテストリードやQAエンジニアにつながります。
また、仕様書を深く読み込む経験はゲームプランナー、不具合の発生メカニズムを理解する力はゲームプログラマーと、開発現場のさまざまな職種へステップアップするための土台となるでしょう。
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ゲームテスターへの転職はIT転職のプロに相談しよう
ゲームテスターは、単にゲームで遊ぶのではなく、仕様書に基づき製品の品質を保証する専門職です。注意力や忍耐力、論理的なコミュニケーション能力といった専門スキルが求められます。
この記事を読んで、ゲームテスターに魅力を感じた方は、一度転職の専門家に相談してみるとよいでしょう。
「IT・ゲーム業界の仕事に興味がある」
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この記事の監修者
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【国家資格保有】キャリアアドバイザー 小峰涼平
5年間インフラエンジニアとして新規顧客提案や既存顧客への提案〜運用保守業務を経験。業務を行う中で人材業界へ興味を持ち、22年1月国家資格キャリアコンサルタントを取得。現在、資格を活かしキャリアアドバイザーとしてエンジニアの転職支援を行っております。
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