
ボーナスカット・出ない、告知なしは違法?違法となるケースを解説
この記事では、事前告知なしでボーナスカットされる違法性について解説します。例えば、就業規則や労働契約にボーナスの支給が明記されている場合は違法になります。ボーナスカットされてしまった場合の対処法や、転職すべきか判断するためのチェックリストも紹介します。
目次
事前告知なしでボーナスカットは違法になる?
事前通知なしで突然ボーナスカットになり、疑問や不満を抱えている人もいるかと思います。
まず始めに事前通知なしのボーナスカットの違法性について、解説していきます。
ボーナスカット自体が直ちに違法とは限らない
ボーナスには法律上の定めがなく、基本的に企業ごとの就業規則や労働契約によって規定されています。よって、ボーナスカット自体に違法性はありません。
しかし、中には違法になるケースもあるため、ご自身がどのような状況かを確認して対処することが大切です。
ボーナスカットが違法か否かは就業規則で判断できる
ボーナスの支給は法律上義務付けられているわけではなく、あくまで企業が定める就業規則や労働契約書に委ねられています。
企業によってボーナスが上がる下がる、出る出ないなどの支給条件が異なるのが現状です。
なお労働基準法では次のように定められています。
【労働基準法(第89条)】
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
(引用:『労働基準法|e-Gov法令検索』)
10人以上就業する企業には就業規則を作成して行政官庁に届け出る義務があるため、就業先の企業の就業規則で賞与に関する規定を確認してみましょう。
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ボーナスカットが違法となるケース
ボーナスの支給自体は企業の義務ではありませんが、ボーナスカットが違法となるケースは主に以下の3つです。
- 就業規則にボーナス支給について明記されているが支払われていない場合
- 有給休暇や出産・育児休暇の取得を理由にボーナスが支給されてない
- 賞与支給日在籍要件を満たして退職したにもかかわらず支払われていない
それぞれ、具体的に解説します。
就業規則にボーナス支給について明記されているが支払われていない場合
就業規則や労働契約にボーナスの支給が明記されているにもかかわらず、企業が支払わない場合は、原則として違法となります。就業規則や労働契約は、会社と労働者の間で交わされた約束事であり、これに反する行為は「労働契約の不履行」に該当する可能性が高いためです。
ただし、就業規則や労働契約において「業績や評価によって変動する」旨が明記されている場合は、企業側に一定の裁量が認められる場合があります。就業規則や労働契約を確認し、記載内容を確認してみましょう。
「賞与は基本給の〇%を支給する」などと具体的な金額や割合が明記されている場合、企業はその内容に従う義務があります。一方的なボーナスカットや不支給があれば、損害賠償の対象になるでしょう。
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有給休暇や出産・育児休暇の取得を理由にボーナスが支給されてない
有給休暇や出産・育児休暇の取得を理由にボーナスを支給しなかったり、減額したりすることは違法になる可能性があります。
労働基準法(第136条)では、有給休暇は労働者の権利として保障されており、ボーナスカットなど有給休暇の取得を抑制するような措置は認められません。よって、有給休暇の取得を理由に賃金や賞与を減額することは違法です。
また、男女雇用機会均等法(第9条)では、妊娠・出産や育児休業を理由とした解雇や賃金の不利益変更を禁止しています。妊娠や出産を理由に、労働者に不利益な取り扱いを行うことも違法です。
(参照:労働基準法|e-Gov法令検索)
(参照:婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等(第9条)|厚生労働省)
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賞与支給日在籍要件を満たして退職したにもかかわらず支払われていない
退職者が「賞与支給日在籍要件」を満たしているにもかかわらず支払いがない場合、違法となる場合があります。
賞与支給日在籍要件とは、「賞与支給日に会社に在籍している従業員に対してのみ賞与を支給する」という条件のことです。査定期間中に労働を提供した従業員には、たとえ退職が決定していても賞与を支払う義務があります。
もし、就業規則に「退職予定者を非退職予定者と別に計算する」「退職予定者の賞与は減額して計算する」などと記載されている場合は、減額が認められる場合があるため注意が必要です。
ただし減額幅は合理的な範囲に収める必要があるため、全額カットは違法になる可能性が高いでしょう。
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事前告知なしでボーナスが出ない3つの理由
なぜ、いつも支給されていたボーナスが突然減ってしまうのでしょうか?事前通知なしでボーナスカットとなる一般的な理由は、主に以下の3つです。
- ①ボーナス支給日より前に退職した
- ②会社の業績が悪化している
- ③個人の業績評価や勤務態度が著しく低い
それぞれ、具体的に解説します。
①ボーナス支給日より前に退職した
ボーナス支給日に退職する場合では、ボーナスが出ない、もしくはカットとなる場合があります。
「支給日在籍要件」が就業規則に明記されている場合、ボーナス支給日前に退職した労働者には賞与が支払われないのが一般的です。
ただし、労働者自身の意思によらない退職(整理解雇や会社都合による解雇など)の場合には、「支給日在籍要件」が適用されないことがあります。
過去には、裁判所が「不合理」と判断し、ボーナスの一部または全額を認める事例もありました。
あくまでも就業先の就業規則の支給日在籍要件の内容によるため、退職を検討している場合は自社の就業規則や賃金規程を確認し、「支給日在籍要件」の有無を把握しましょう。
②会社の業績が悪化している
ボーナスカットの理由として、会社の業績悪化も一般的です。
就業規則や賃金規程、雇用契約書に「著しい業績悪化・やむを得ない事情により、賞与を減額や不支給にすることがある」などと記載がある場合、一定の条件下でボーナスカットが認められる可能性があります。
しかし、業績悪化を理由にした賞与の減額や不支給が常に適法であるわけではありません。
就業規則に賞与の支給が確約されている場合や、支給額が明確に定められている場合は、一方的な減額は労働契約の不利益変更とみなされる可能性があります。
また、実際には業績が改善しているにもかかわらず、業績悪化を理由に賞与を減額することも違法です。
就業規則や労働契約書に基づいた適切な対応がなされているかをチェックしましょう。
なお、会社の業績が悪化し続けており回復の見込みがない場合は、転職活動の準備を始めておくことをおすすめします。
③個人の業績評価や勤務態度が著しく低い
会社の業績が安定していても、個人のパフォーマンスがボーナス支給額に大きく影響することは珍しくありません。特に、賞与査定期間中の業績評価が著しく低かったり、勤務態度に重大な問題があると判断されたりした場合、ボーナスが大幅に減額、あるいは不支給となる可能性があります。
例えば、以下のようなケースが該当します。
- 重大なミスの発生: 会社に大きな損害を与えるようなミスを犯した。
- 目標の未達: 査定期間中に設定された個人目標やノルマを、著しく下回る結果となった。
- 勤怠不良: 無断欠勤や頻繁な遅刻・早退が続き、勤務態度が極めて悪いと評価された。
- 懲戒処分: 就業規則違反により、懲戒処分の対象となった。
これらの事実は、通常、評価面談などでフィードバックされるべきものですが、会社側の認識と従業員側の認識にギャップがある場合や、面談での指摘が曖昧だった場合、「告知なし」で結果(ボーナスカット)だけが突きつけられた、と感じる事態に陥ることがあります。
もし、ご自身の業績や勤務態度に大きな心当たりがないにもかかわらずボーナスが出なかった場合は、次のステップである「就業規則の確認」や「上司への理由確認」がより重要になります。
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事前告知なしでボーナスカットになっていた時の対処法
事前通知なしでボーナスカットになっていた時の対処法は、以下の通りです。
- 上司に事情を聞く
- 就業規則や労働契約を確認する
- 業績不振が続くなら転職を検討する
それぞれ、順に解説します。
上司に事情を聞く
事前通知なしでボーナスカットになっていた場合、まずは上司に事情を聞いてみましょう。
周りの社員が同じ状況か分からない場合、自分の評価、ボーナスの事情を知っているのは上司になるのでまずは面談などで事情を聞くようにしましょう。
中にはマネージャー層にのみ、ボーナスカット理由が周知されており、支給後に周知する予定という場合もあります。
何らかの理由を知っている可能性があるため、上司に聞いてみるのがよいでしょう。
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就業規則や労働契約を確認する
ボーナスカットが発生した場合、まずは就業規則や労働契約書を確認しましょう。
ボーナス(賞与)は法律上の支払い義務がなく、企業が支給するか否かはこれらの規定に依存するためです。
就業規則や労働契約書にボーナスの支給条件が明記されており、「賞与は業績や勤務成績を考慮して支給する」などの条件がない場合、一方的にカットされることは違法となる可能性があります。
違法にボーナスカットされていた場合
違法が疑われるボーナスカットが行われた場合、まずは会社との交渉を試みましょう。交渉の際には、以下のような証拠を準備しておくことが重要です。
・就業規則や賃金規程
・労働契約書(雇用契約書)
・過去の給与明細や賞与支払履歴
また、会社側に差額分の支払いを求める内容証明郵便を送付することも有効です。内容証明郵便は後の法的手続きで証拠として使用できるため、慎重に対応しましょう。
交渉で解決しない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することが大切です。
労働基準監督署では無料で相談を受け付けており、企業への指導を依頼できます。また、弁護士に依頼すれば、労働審判や訴訟などの法的手続きも視野に入れた対応が可能です。
業績不振が続くなら転職を検討する
ボーナスカットが業績不振を理由として行われる場合、法律的には違法ではないケースが多いでしょう。
就業規則に「賞与は業績や勤務成績を考慮して支給する」などと記載されている場合は、問題ないと判断される可能性が高いためです。
ただ、業績不振が長引く企業では、ボーナスカットが一時的な措置にとどまらず、繰り返される可能性があります。
社員の努力だけで業績回復を目指すのは限界があることも少なくないため、、転職を真剣に検討する必要があるでしょう。
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ボーナスカットで会社の将来性が不安!転職すべきか悩んだときのチェックリスト
ボーナスカットにより転職すべきか悩んだときは、以下の4点をチェックしましょう。
- 会社の業績や成長率をチェックしてみる
- 新しい事業や市場への参入を検討しているか否か
- 人材育成や開発に力を入れているか否か
- 自分の目標と価値観に合っているか否か
それぞれ、具体的に解説します。
会社の業績や成長率をチェックしてみる
ボーナスがカットされた場合、まず会社の業績や成長率を確認しましょう。
ボーナスは一般的に企業の業績や利益に基づいて支給されるため、業績悪化が原因であればその背景を理解する必要があります。
業績悪化が一時的なものであれば、将来的な回復が期待できる可能性があります。
しかし、IT化など長期的な影響での衰退や、全体で縮小傾向にあるような業界・業種の場合は転職を考えてもよいでしょう。
新しい事業や市場への参入を検討しているか否か
新しい事業や市場への参入を検討しているかどうかを確認することも、会社の将来性を判断する重要な指標となります。
積極的に新しい事業や市場への参入を検討している企業は、成長ポテンシャルを持ち続けていると考えられるため、転職に向けて動き出す前に動向を観察しましょう。
ボーナスカットが行われた場合でも、新規事業への投資が行われている企業は、長期的な視点で成長を目指している可能性があります。
一方で、新規事業への取り組みが見られない場合や現状維持に留まる姿勢が強い場合は、転職を考えるとよいでしょう。
人材育成や開発に力を入れているか否か
ボーナスカットによって企業に不信感を抱いた際、転職を検討する前に人材育成や開発に力を入れているかどうかも確認しておきましょう。
人材育成に注力している企業は、従業員のスキル向上やキャリア形成を支援する環境が整備されており、長期的な成長が期待できるためです。
ボーナスカットがあったとしても、人材育成への投資が継続されている場合は、将来的な回復可能性が高いと判断できるでしょう。
一方で、人材育成への取り組みが薄い場合は、その企業で働き続けることによるキャリアリスクも考慮する必要があります。
目指すキャリアを明確にして、転職理由や希望条件、これまでの経歴を整理してから転職活動を始めましょう。
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自分の目標と価値観に合っているか否か
ボーナスカットが行われた際に転職を検討するなら、自分の目標や価値観に現在の職場が合致しているかを見極めることも大切です。
単なる収入面の問題だけでなく、今後のキャリア形成や仕事へのモチベーションにも大きく影響を及ぼす可能性があるためです。
もし現在の職場が自分の目標や価値観と大きく乖離している場合は、転職を検討することも選択肢の1つとして考えられるでしょう。
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IT人材のボーナスの現状とは?
ここでは、IT人材のボーナスの現状について解説します。
Geeklyで実際に集計したデータを基に、ボーナスの状況や支給額、満足度について解説しています。
約4割のIT人材がボーナスなし
Geeklyの独自データによると、今年も去年もボーナスがないと回答した人は約4割という結果になりました。
これを年代別に見ると、50代が5割を占めており、年齢や年次が上がるほどボーナスが支給されていないということが分かります。
これは、年齢を重ねるほど給与を年俸制で支給されていたり、若年層はボーナスにこだわらない、等様々な理由が挙げられます。
ボーナスの支給額は20~29万円が最多
ボーナスの支給額について、支給されている中で最も多い割合は、「20~29万円」という結果になりました。
これは集計対象者が20代が5割と、これからキャリアアップと共に年収が上がっていく層が多いため、ボーナスは少なめの結果となっています。
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約40%が現在の年収に満足していない
ボーナス含む、現在の年収に満足しているかというアンケートでは、約40%の人が現在の年収に満足していないという結果になりました。
年収の満足度は大きな転職理由となり、キャリアアップのための重要なポイントでもあります。
現在の年収で満足していない、かつ今の環境で年収を上げることが難しいという人は、転職をすることもおすすめです。
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ボーナスが安定して支給される会社に転職しよう
ボーナスカットは、法律上必ずしも違法とは限りません。しかし就業規則や労働契約に賞与の支給条件が明記されている場合、条件を満たしているにもかかわらず支給されない場合は違法となる可能性があります。
ボーナスカットが発生した際には、すぐに転職を検討するより先に、まず就業規則や労働契約を確認して不当な場合は企業との交渉や労働基準監督署への相談を検討しましょう。
ボーナスカットをきっかけに会社の将来性に不安を感じる方は、プロの転職エージェントに相談して転職に向けて活動を始めることもおすすめです。
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