ローコード開発のメリットを解説!企業の導入事例もご紹介します
コーディングを1から行う必要がないローコード開発は、その敷居の低さから多くのメリットがあるとされる開発手法です。今回はそのメリットについて具体的にご紹介すると共に、導入事例やトラブルについても取り上げることでどのようなプロジェクトにこの開発手法が向いているのかを解説していきます。
目次
ローコード開発のメリット
ローコード開発は近年、開発面でのメリットの大きさから注目度が上がっています。
今回はそんなローコード開発のメリットを中心にご紹介していきましょう。
まず、具体的にどのようなメリットが存在しているのかを解説していきます。
開発時間の短縮
ローコード開発は、システム開発において時間のかかるソースコードを書くという作業を最低限に減らすことができます。
ローコード開発では基本的なコードや統合環境が用意されており、それにより作業の簡略化ができるためです。
その分短い期間での開発が可能となり、ビジネスをスピーディに進めていくことができます。
時間短縮はローコード開発の大きなメリットであるといえるでしょう。
開発コストの削減
ローコード開発を導入することで、開発期間を短縮できるだけでなく人件費の削減も可能です。
システムのコーディングの過程を大幅に短縮できるためです。
全体の開発コストの削減にもつながるため、これは企業にとって大きなメリットといえます。
システム開発の敷居が低い
また、コーディングの専門知識がなくても開発に携われるということもメリットの1つです。
これにより専門知識の無い人材であっても開発現場に起用することができるため、現場や利用者の声を取り入れやすくなると同時に、人員確保の面でもプラスに働きます。
プラットフォームやツールに対しての知識は必要ですが、ソースコードの書き方を1から学習する必要はありません。
難しいソースコードを書かなければいけない箇所では専門知識を有する人材を起用するなど、人材リソースに余裕を生むことができるでしょう。
機能拡張も可能
ローコード開発は、既存の開発よりもソースコードの入力が少なくなるという利点があるとお伝えしました。
しかし、だからといってできることの幅が極端に狭まるということではありません。
一切コーディングをしないノーコード開発とは異なり、ローコード開発ではソースコードでの機能拡張が可能です。
これにより、既存の機能で対応しきれない部分では、拡張性を駆使してより希望に合ったシステムを構築することが可能なのです。
ローコード開発のデメリット
ローコード開発には多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在しています。
デメリットも確認することで、ローコード開発を用いるべきタイミングを明確化しましょう。
自由度が低い
ローコード開発では、基本的な機能が備わっているということをお伝えしました。
それはスピードが求められ、尚且つそこまで複雑さを求められない開発ではメリットといえます。
しかしながら、逆にシステム自体が大規模であるなど、複雑な機能が求められる場合には自由度が限定されることがデメリットとなります。
そのため、そのような開発現場ではローコード開発が向かない可能性があります。
プログラマーは必要不可欠
ソースコードを扱う以上、プログラマーが全く必要がないという訳ではありません。
開発において生じたトラブルや問題などは、実際にコードを見て何が問題なのかを分析する必要があります。
そうした環境下で、専門知識の無い人間だけで開発を行っては問題を解決することができません。
基本的なコーディングを省くことができるのは利点の1つですが、プログラマーが必要ないわけではないということを念頭に置いておきましょう。
ローコード開発の活用方法
ここでは、企業がどのようにローコード開発を活用しているのかをお伝えしていきます。
ローコード開発に最適なプロジェクトとはどのようなものなのかを知り、転職後の仕事にも役立てていきましょう。
開発期間が短い場合
ローコード開発のメリットとして、開発にかかる時間が短縮できるという点を挙げました。
このメリットは開発期間が短いプロジェクトにローコード開発を用いる理由になり得ます。
開発期間が短いと開発工程の全体に対して丁寧に時間をかける余裕はありません。ローコード開発を用いれば、基本的な部分のソースコードの記述を省くことができ、その分の時間やコストを注力すべき箇所に集中させることができるのです。
これにより、開発期間が短くても余裕が生むことができるため、プロジェクトにおける失敗も少なくすることができるでしょう。
また予算の問題で開発期間を短縮する場合なども、ローコード開発は効果的です。
現場の人員が不足している場合
開発現場でプログラマーが不足しており、ソースコードの記述に多くの人員を割けない場合にも、ローコード開発は有効です。
この開発方法を用いることで、基礎的なソースコードの記述が必要がなくなるため、その部分で人員は削減することができます。
開発する上で優秀なプログラマーを多数擁する必要がなくなるため、人材確保にかける時間とコストを減らせるでしょう。
導入事例
ここでは、企業が実際にローコード開発を導入した事例をご紹介していきましょう。
メリットや活用方法について具体的なイメージを掴むためにも、このような導入事例を見ることは大切です。
米国トヨタ
米国トヨタでは、中古車の販売現場で使用されるアプリケーション開発にローコード開発環境を使用しています。
以前まではパソコンからしかアクセスすることのできなかった、出荷前チェックのアプリケーションをモバイルアプリで提供。
これにより、スマートフォンにより手軽に部品のチェックを行えるようになり、中古車のチェック率の向上に繋がりました。
ローコードの開発ツールを用いることで、手軽かつ迅速に正確なチェックを現場で行えるアプリケーションを開発できた事例です。
積水化学工業
積水化学工業では、経理部門における期末決算報告に関する情報を集めるシステムをローコードによって開発しました。
社内の部署全部の情報を集める必要がありましたが、それをシステム化することで効率化を図ったのです。
この企業の開発では、大部分をコーディングなしで開発できたことで早くから現場でプロトタイプを使用してもらうことが可能となりました。
これにより、システム上の問題点に早期に気づき、修正が行えたのです。
また、これによりシステムの効率化が達成できただけでなく、開発期間も短縮できました。
ローコード開発によって、決算期に間に合わせるため短期の開発期間しか取れませんでしたが、問題なく運用することができたのです。
このように短期でのシステム開発においても大きなメリットを発揮しています。
トラブル事例
ローコード開発で生じやすいトラブルはコードのスパゲッティ化によりメンテナンスができなくなるということです。
コードを書く際には専門的なプログラミング知識を有する人材を起用するなどの対策が必要となるでしょう。
システムの維持ができなくては、その後、更なるコストが生じる可能性が出てきます。
ローコードのプラットフォームを使用せず、1からシステムを組んでいた方が開発がスムーズだったということも起こり得るでしょう。
こうしたことが起こらないよう、事前にシステムの設計や人材の選択に時間をかけることが必要です。
今後SIとして働く上でこのようなトラブルの可能性を念頭に置き、システムの開発環境を考えていくことが重要となるでしょう。
ローコード開発の将来性
今後アプリケーション開発や、システムの効率化などの面で手早く開発するニーズが増加していくことが予想されています。
少ない時間や工程によって開発していくにあたって、ローコードに対するニーズも高まっていくものと考えられるでしょう。
これはSIerへの転職を考えている方にとって無視できない傾向です。
今後、短期間での納品を目指す開発などにおいては、ローコード開発は主要な選択肢として挙げられていくことでしょう。
今回ご紹介したメリットを頭に入れておくことによって、転職後の仕事においてもそのメリットを生かした開発計画を提案できるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、ローコード開発のメリットや、導入事例などを中心にご紹介しました。
ソースコードの記述が少なく済むというのは、ローコードの大きなメリットの1つです。
とても注目度の高まっている開発手法であるため、SI転職を考えている方にとってもこれらのメリットを知ることは大切なことだといえるでしょう。
今回の記事を通してこれからの業界の流れを知ることで、転職にも役立てていただければ嬉しいです。
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