IT導入補助金とは何か解説!概要やメリットは?補助対象も確認して転職先で提案できる人材になろう!
多くの中小企業が抱える課題として、人材の不足や非能率な業務内容などがあげられます。改善には多額の費用がかかることがあるため手をこまねいている経営者は少なくありません。抜本的な改革を提案してくれる人材を待っているという企業もあるでしょう。そこでこの記事では、中小企業を対象にした助成金、IT導入補助金を分かりやすく解説していきます。社内の生産性アップを目指す方はぜひ参考にしてください。
目次
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者を対象としたITツール導入をサポートする補助金です。
日々のルーティンワークの中で人手と時間を割いている業務をIT化し、生産性を上げることを目的としています。
ITの導入で業務を効率化させることにより売上の上昇や賃金の値上げが可能となり、ひいては経済の活性化が見込めるという仕組みです。
また中小企業者だけではなくサポートツールを販売する事業者にも有益なため、2017年に実施されて以来注目されている支援事業です。
導入例には以下のようなものがあります。
・介護業:手作業で行っていた勤怠管理業務等をITで自動化した結果、他業務へ人員を配置でき業務効率が上がります。
・飲食店:売上や請求業務にシステムを導入した結果、残業時間短縮となり人件費の削減が可能となります。
IT導入補助金の概要
IT導入補助金の大まかな概要は以下の通りです。
・実施日:2017年より毎年約7ヶ月間
・公募回数:8〜9回(年により)
・対象:日本全国の中小企業※詳細は後述
・分類:通常枠(A・B)と特別枠(C)の3類型
・交付金額:30〜450万。類型により異なる
・補助率:類型により異なる
・申請要件:労働生産性の伸び率が3年後1%以上、4年後1.5%以上、5年後2%以上になるよう目標を設定
交付決定の審査は外部委員会が行います。審査は主に補助金の目的でもある労働生産性の伸び率が重要視されるでしょう。
対象や分類、交付金額などについては後ほど詳しくご説明しますので参考にしてください。
補助金申請・交付までのフロー
IT導入補助金に申請した場合、実際に入金があるまでのおおまかな目安期間は3〜4ヶ月です。
申請前のITツール購入経費は補助対象外(特別枠例外あり)となるため、資金繰りなどを考えたうえで申請を行いましょう。
補助金を申請する際の流れを1〜3のステップに分けてご紹介します。
・ステップ1 補助金について理解する
・ステップ2 申請専用アカウントを取得する
・ステップ3 事業実績を報告する
ステップ1 補助金について理解する
ステップ1では以下のことを行います。
・公募要領をダウンロード
・事業計画を立てる
・IT導入支援事業者、ツールの選択
まずはIT導入補助金の公式ホームページから公募要領をダウンロードして目を通しましょう。
その後自社の強みや弱み、どういったITツールを導入しどのように経営スタイルを変えていくのか事業計画を立てておきます。
このとき立てた事業計画内容を後日事務局認定IT支援事業者とさらに協議し、導入する最適なツールを決定していくという流れです。
ステップ2 申請専用アカウントを取得する
ステップ2では以下のことを行います。
・「gBizプライムアカウント」を取得
・必要書類を用意、申請作業
・事業を計画通り推進
補助金公式サイトよりgBizホームページへ移行し、申請に必要なアカウントを作成します。
その後申請ページにて、基本情報や導入ツール、事業計画について入力し、必要書類の画像を添付します。
申請が完了したら、計画通り事業を進めていきましょう。
ステップ3 事業の実績や効果を報告する
ステップ3 では以下のことを行います。
・事業実績を報告
・交付手続き
・事業効果を報告
事業実績を報告後、助成金額が決定されますので交付手続きを行います。
また入金後もIT導入後の効果について、支援事業者のサポートを受けながら報告を行います。
なお、IT導入補助金には補助対象に条件があるため当てはまらない事業者は申請することができません。
次の章で対象者や対象ツールをチェックしてみてください。
IT導入補助金の補助対象
IT導入補助金の対象者・対象ツールは以下の通りです。
・対象者:飲食業、宿泊業、卸・小売業者、運輸業、医療業、介護業、保育業者、製造業、建設業、士業など
・対象ツール:クラウドサービス、ソフトウェア製品、機能拡張製品、データ連携ソフトなど
基本的に日本全国の中小企業のほとんどが対象となるようできていますが、業種ごとに資本金や従業員数の上限などの決まりがあります。
念の為公式ホームページで詳細を確認しておくことスムーズです。
また対象ツールは、アイテムだけてなくIT導入に伴う導入設定、マニュアル作成などの役務も補助の対象になります。
これまでITとは縁のなかった業種、費用や適任者の不足などでIT化を推進できていなかった企業も無理なく導入できるでしょう。
申込時の分類
IT導入補助金の申請者は3つの類型に割り振られます。類型ごとに補助率や補助金最高額が異なるので自社がどの分類に属するのか確認しましょう。
A類型(通常枠)
補助金額は30万〜150万円未満、補助率2分の1以下です。
上限が最も低いため申請しやすい枠になります。中小企業の中でも個人事業主など小規模で事業を行っている方におすすめです。
B類型(通常枠)
補助金額は150万〜450万円未満、補助率2分の1です。
高額なソフトウェアなどにも対応できるため、大規模なIT化を検討中の企業にもおすすめです。
C類型(特別枠)
補助金額は30万〜450万円未満、補助率最大4分の3です。
C類型-1とC類型-2の2種類に分けられ、どちらも新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けた企業へおすすめの枠となっています。
C類型-1は補助金額30〜150万(賃金をあげる目的の場合は450万)、補助率3分の2です。
顧客に対して製品を提供し続けるためにITツールを導入する場合に対応しています。
C類型-2は補助金額30〜300万、(賃金をあげる目的の場合は450万)補助率3分の4です。
顧客と対面せず行うビジネスモデルを推進する、またはテレワーク環境を推進する場合に対応しています。
IT導入補助金を申請するメリット
IT導入補助金は、申請する中小企業者・IT支援事業者双方にメリットがあると先ほどもご説明しました。
ここでは申請する企業側の具体的なメリットをご紹介します。
・システム導入の費用が抑えられる
・借入金ではないので返済の必要がない
・従業員の負担を軽減できる
・従業員のモチベーションアップにつながる
中小企業では金額面でのハードルが高くECサイトのリニューアルや売上の管理など、新たなソフトウェアの導入を見送ることも珍しくありません。
また助成金により業務のIT化が進むことで、残業時間の短縮や給料アップが期待できます。
従業員に還元でき、企業側にとっては返済の負担がないというのも大きなポイントでしょう。
IT導入補助金を申請するデメリット
良いことばかりに思えるIT導入補助金ですが、以下のようなデメリットがあります。
・給付まで時間がかかる
・審査に通るとは限らない
・導入費を立て替えなければならない
・事業報告の必要がある
補助金給付までは一定の期間があり、その間費用は立て替えなければなりません。
また給付後も事業報告をする必要があるなど手間がかかることも事実です。
ですが事業報告の際も申請時と同様にIT導入支援事業者のサポートが受けられるため、報告書等にも比較的取り組みやすいでしょう。
もしどうしても申請や報告が面倒だという場合は、代行業者などを利用すると便利です。
採択されるためには
IT導入補助金の申請数は増加傾向にあり、年々難易度の高い助成金となっています。
審査内容は難しいものではないといわれていますが、今後も倍率が上がり続けることを見越して対策をとっていきましょう。
申請時は細部まで確認を怠らないこと
採択されるための重要なポイントは以下の4つです。
・ケアレスミスを無くす
・質問をしっかり読み込む
・審査官の目線を意識する
・加点要素を狙う
申請時には商業謄本をもとに入力作業を行います。
このとき入力ミスがあると不採択となる確率が上がってしまうため、ケアレスミスに注意しましょう。
同様に、質問に対しては正確に答えるように意識してください。
提出書類に関しても、画像が不鮮明ではないかなど審査官の側に立って確認することが大切です。
事前調査が役に立つことも
IT導入補助金の採択を得るために対策セミナーを開催している企業もあります。
行政書士やITベンダーなど有識者が詳しく解説を行い、準備しておくべきポイントを示唆してくれるので事前に受けておくと心強いでしょう。
また申請に関してだけではなく有益な活用法を知ることもできるため、身に着けておいて損のない知識となるはずです。
人気のセミナーはすぐに応募が締め切りになってしまうので気になる場合は早めの申し込みをおすすめします。
狙い目は一次公募
IT導入補助金は予算がなくなり次第公募締め切りとなってしまうため、一次公募が狙い目です。
2019年のA類型では、1次公募の採択者数が二次公募より約800者も多いという結果が出ています。
また、C類型(特別枠)はA・B類型(通常枠)とは別の予算組みとなっているためさらに採択されやすいと期待できます。
加点要素を狙う
IT導入補助金は毎年多少の改訂を行いながら実施されています。その年ごと採択につながる加点要素があるため、チェックしておきましょう。
例えば2020年では以下の4点が加点要素としてあげられました。
・テレワークを導入する事業者
・地域未来牽引企業
・固定資産税の特例率がゼロである自治体に所属
・今回の補助金でクラウドツールを導入予定である
クラウドツールを導入予定にするなどは簡単に対応できる加点要素としておすすめです。
公募要項をよく読み、自社に当てはまる点がないか忘れず確認してみましょう。
まとめ
IT導入補助金は中小企業の生産性アップに役立つ補助金です。売上向上や従業員への還元が期待できます。
この助成金システムは金額的な支援だけではなく支援事業者からのサポートも受けられるため、なかなかIT化できずにいた業種も改革が行いやすいでしょう。
企業側・従業員・経済と多くによい影響をもたらすことが期待できます。
こうした制度をいち早くキャッチアップして提案できる人材は、そう多くありません。
個々のスキルを活かした転職に加え、最新トピックに詳しい人材としての転職も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい関連記事
この記事を読んでいる人におすすめの記事