
グローバル企業のインフラを支える。マブチモーター 情報システム部の進化と挑戦
世界トップクラスのシェアを持つ小型モーターを製造販売するマブチモーター株式会社。今回は、マブチモーターのITインフラを支える情報システム部のT.S様、I.Y様、K.S様に、プロジェクトや教育体制等について語っていただきました。ぜひご覧ください。
最終更新日:
T.S様/IT本部/副参事
1989年マブチモーター株式会社に新卒として入社。
入社以降、業務システムの開発及びプロジェクトの主導(要件定義、設計、プログラミング、テスト、リリース)など数多くの開発プロジェクトに参画。
I.Y様/情報システム部/部長
2018年SIer企業からマブチモーター株式会社に中途入社。
入社後、業務アプリケーション導入展開などを主導。現在では、情報システム部の部長として、2つの情報システムグループのマネジメントを担う。
K.S様/情報システム部/グループマネジャー
1999年マブチモーター株式会社に新卒として入社。
インフラチームのリーダーとして、会社内のサーバー・ネットワークを管理するチームを指揮し、セキュリティの第一人者としてセキュリティ施策をリード。
マブチモーターのITインフラを支える情報システム部とは
―情報システム部の業務概要を教えてください。
T.S様:情報システム部は、弊社のITインフラ全体を支える中核的な部門です。まず中心的な役割として、基幹システムの構築と運用を支えるサーバー、ネットワーク、ストレージのような物理的な基盤であるITインフラや、メールやOffice製品、ワークフローシステム等のコミュニケーションツールまで、広範囲にわたって管理しています。
さらに、海外拠点と共有しているシステムや、拠点ごとに独自で使用しているシステムについても私たちがルールを整備して統括管理しているため、拠点ごとに差があったり把握不足になる心配はありません。このように、情報システム部は全社的にシステムを支えている部門になります。
―情報システム部で進行しているプロジェクトの具体的な内容について教えてください。
I.Y様:現在、IT企画室と協力しながら、*¹『exaBase』という法人向けの生成AIツールを全社的に展開しています。このツールの特徴は、誰がどのくらい使って、どのような効果があったのかを“見える化”できる点です。
たとえば「この人はAIを使って、何時間分の作業を短縮できた」という実績を数値で確認できるので、「ITにいくら投資して、どれだけの効果があったのか」を経営層にしっかり説明できます。これは、経営判断においても非常に有効です。
このツールが特に活用されている領域として、社内でよく使われる”稟議書”という報告書の作成支援が挙げられます。この稟議書にはガイドラインや過去の文書例がたくさんあるのですが、どこに何が書いてあるのかを探すのが本当に大変で、時間もかかります。
そういった“探す手間”をなくすために、AIにガイドラインや過去の文書を読み込ませて、質問すれば「こう書くとよい」「こういう事例がある」と答えてくれるようにしています。これは、社員にとってかなり助かる仕組みだと思います。
まだ社内に取り入れたばかりの仕組みなので、このAIの使い方を紹介する社内イベントも開催していて、社内で集まってもらったりリモートでも参加できるようにして、気軽に触れてもらえる機会を増やしています。
SIerとの違いとも言えますが、ユーザーとの接点が多く、ユーザーにより近いところでサービス提供できることがこの仕事の魅力の1つだと思っています。
*¹exaBase…株式会社エクサウィザーズが提供する「Products」「AI Assets」「Consulting Services」の3つの要素で形成されるAIプラットフォーム。
―他に進行しているプロジェクトがあればお聞かせください。
K.S様:現在、私たち情報システム部では“ゼロトラスト”という新しいセキュリティモデルを軸に、様々な情報セキュリティの仕組みを組み合わせることで全社のITインフラを再構築しています。これは「社内=安全」という前提を捨て、すべてのアクセスを信用せず検証するという考え方で、生成AIやアプリケーションを安全に使用できるように基本的なインフラストラクチャー構築に尽力しています。
働く場所が多様化する中、社外からでも安全に業務環境へアクセスする仕組み、つまりゼロトラストネットワークアクセスが求められており、本社だけではなく海外拠点も含む全社横断のプロジェクトとして環境の整備に取り組んでおります。
またゼロトラストではユーザーのITリテラシーが重要です。弊社は年に3〜4回ほど標的型メール訓練を行い、その結果をフィードバックすることで、フィッシングメール等に引っかからないようITリテラシーを高める動きをとっています。
T.S様:各国にある拠点ごとにITリテラシーの差が出ないようにするため、本物のメールに寄せた内容のものを各国語バージョン分用意し、実際に使用しているシステムから社員に送信しています。
それでうっかりクリックし、ユーザーやIDパスワードまで入れてしまうと企業情報を抜かれてしまうので、そこまで引っかかってしまった方には特別訓練を行い、セキュリティについて学んでいただいています。他にも全社員向けにITパスポート取得支援を行う等、リテラシーの向上には力を入れています。
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グローバルに展開する情報システム部のキャリアについて
―情報システム部に入社した場合、どのような経験を積むことができますか?
T.S様:弊社の情報システム部に入ると、単なる運用保守だけでなく、AI導入やRPA活用、さらにはグローバルで展開するローコード開発基盤の整備と言った最前線の取り組みに携わることができます。特に現在はAIやローコード開発に力を入れており、外注ではなく社内での開発体制構築も視野に入れているため、新たな技術領域に挑戦したい方には絶好の環境だと思います。
I.Y様:業務効率化や生産性向上をテーマにしたプロジェクトは拡大フェーズにあるので、例えば「ITを使って全世界の従業員の業務効率化をしたい」と手を挙げればすぐにでもチャンスが巡ってくる等、規模が大きくてもチャレンジしやすい環境です。
また私たちは現在、アプリケーション開発の基盤としてローコード開発基盤を導入しており、これを使った社内システムの開発・運用に関わることも可能です。Microsoft365製品群の活用や、クラウドサービスを使ったソリューション構築等、技術的な幅も非常に広く、エンジニアとして様々な経験を積みながら成長していける環境だと感じています。
T.S様:弊社はかつてミッドレンジコンピュータを使い、各拠点で独自に業務システムを開発していました。ですがERP導入をきっかけに、10年ほど自社開発をストップしていた時期があります。その間に“内製力”が少しずつ失われてしまったため、現在ではローコード開発基盤で再び全拠点での内製開発を復活させようとしています。
各拠点にいるエンジニアが本社と同じシステムを使い、事業転用のアプリケーションを開発して便利なものはすぐ共有する、という動きを”標準の開発基盤”と呼んでいますが、拠点をまたぐワークフローとして整備しています。
こうした取り組みの一環としてグローバルIT会議も開催しています。世界中の主要拠点のIT担当者を集めて、標準開発基盤の運用状況を報告し合う場であり、昨年から教育や教材の整備を進め、今年は実際に各拠点でアプリケーションを作り、現場での活用が始まっています。
この会議はコロナ禍で中断していましたが、今年から再開し、今後は定期的な開催を予定しています。世界中の仲間たちと議論できる貴重な機会ですし、情報システム部としても成長につながる良い刺激になります。
―携わるプロジェクトにおいて、どのようなスキルや経験が活かせますか?
I.Y様:私たち情報システム部は全社のIT業務を統括する立場にあり、国内外問わず、多くのユーザーや拠点にいる管理者の方と関わる機会があるため、コミュニケーションや調整力を活かせると思います。
もちろん、すでに調整力や折衝経験がある方は即戦力になりますが、「話すのが得意じゃないけれど挑戦したい」という方でも業務に携わるなかで自然と磨いていけますし、現場と向き合う姿勢があるかどうかが重要です。IT技術に関するところでは、インフラ系の知識とアプリ系の知識が両方あると非常に役立ちます。
K.S様:情報システム部は基幹システム系とアプリケーション/インフラ系のグループに分かれています。
当社の情報システムを運用管理している社内SEとして、どのように基幹システムやアプリケーションを活用したら業務改善できるのかということを考えることになります。システムやアプリケーションをカスタマイズしすぎて運用が難しくなってしまうことがないようバランスを取り、インフラの知識もあわせて最適解を出しますので、その過程で習得できる知識は多く、成長の機会を得られます。
T.S様:必ずしもマルチに携わってきた経験やグローバル思考が求められるわけではなく、興味があることや好きな技術に対して極めた経験がある方も歓迎しています。これからよりキャリアアップするために業務の幅を広げてみたい方や、ある程度自信がある技術があって、その技術を使ってチャレンジしたいという想いを持つ方にとっては良い環境なのではないでしょうか。
―中途入社の方への教育体制で強化していることはありますか?
弊社の人材育成機関である「マブチ・ラーニング・インスティテュート」で入社時教育を行っています。経営理念、業務フロー、基本ルール等、全社共通の基礎的な知識を体系的に学んでいただく場になります。
その後、私たちの情報システム部に配属される段階で、より実務に直結したIT本部独自の中途育成カリキュラムに切り替わります。単なるOJTにとどまらず、職務に必要な知識やスキルを計画的に習得できるよう、研修設計をしています。また、教育は一過性のものではなく、配属後も継続的な支援があります。
特徴的なのは“スキルトランスファープログラム”です。これは、社内で長年経験を積んできたベテラン社員が講師となって、自身の知見やノウハウをチームメンバーに直接伝える取り組みです。たとえば、あるテーマでは5回シリーズで講座を開き、業務の背景や判断のポイントまで深く掘り下げた内容を共有しています。
教育は手厚く行っていて、後から見返せるよう録画等もしています。専門的な知識がない場合でも、基本的な内容は研修の中でお伝えしています。
―社内でコミュニケーションを取るときや、チームづくりの際に意識していることはありますか?
I.Y様:チームづくりで一番意識しているのは、“どんなことでも気軽に相談できる関係”を築くことです。メンバーから情報が上がってこないとチームは成長しません。そのため私は上司・部下という言葉はなるべく使わず、「メンバーの皆さん」という表現にしています。
また、毎週水曜には相談タイムを設けていて、誰でも自由に来て話せる時間にしています。相談だけじゃなく、雑談をしに来てくれる人も多いです。そうしたラフなやり取りが、信頼関係を深める上でとても大事だと感じています。
T.S様:組織全体としても、心理的安全性を高める取り組みに力を入れています。たとえば、ポジティブ・フィードバックに特化した1on1を定期的に実施していて、「この間の対応すごく助かったよ」といった前向きな言葉を伝え合う場を設けています。褒められることでモチベーションが上がり、チーム全体に良い循環が生まれるんですよね。
最近では、社内の管理職向けに“アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)”をテーマにした研修も行われました。無意識の偏見が社内の対話を妨げていないかを見直すことは、風通しの良い職場づくりには欠かせません。
働き方の面でも、心理的な安心感を大切にしています。当社では現在、出社率6割・リモート4割が基本ですが、定例ミーティング等も、リモート参加者との情報格差が出ないように工夫しています。どこにいても平等に意見を出せる環境づくりが、チームの力を引き出していると感じています。
I.Y様:人によって働きやすいスタイルは違うので、そうした柔軟性を持っている点は弊社の魅力のひとつだと思います。
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最後に、情報システム部で働くことに興味がある方へメッセージをお願いします。
T.S様:情報システム部ではグローバルなプロジェクトに関わることができます。実は私自身、若い頃に約8年間、中国・香港の拠点でIT担当として勤務していた経験がありますが、今は物理的に長期で海外に行く必要はあまりなくても、業務自体は確実にグローバルに広がっています。
弊社はM&Aも積極的に行っており、グループ会社も増えています。ITの力でシステムや情報がつながることで組織としてのシナジーが生まれます。そうしたグローバルな視点でITを活用し、会社の未来を一緒に描いてくれる方と働けたらうれしいです。現在は海外に出向等はほぼありませんが、行きたい方にはチャンスが来ると思います。
I.Y様:私は中途入社ですが、複数のソリューションを横断的に扱える面白さを実感しています。1社の特定製品に特化するのではなく、幅広い視野で技術に触れられるのが魅力です。
新しい技術に挑戦したい方や様々な業務に関わりたい方には、本当にやりがいのある環境です。もちろん、社内外の多様なステークホルダーと丁寧にコミュニケーションを取る力も大事になります。協調性を持って長く働いてくれる方なら、技術の習得はあとからでも十分可能です。未知のことに対する好奇心と学ぶ意欲さえあれば、スキルは後からついてきます。
K.S様:私はもともと製造設備の設計に携わっていて、途中からIT部門に異動して今はインフラ領域を担当しています。そのような私から見ても、弊社の社内SEは非常に幅広く活躍できると感じています。
IT業界は技術の流れがとても早いので、興味や好奇心を持って新しいことをキャッチアップしていける方が向いています。たとえば、“ガジェットが好き”とか“新しいアプリはすぐ試したくなる”という方も、社内の業務改善や効率化のアイディアにつながります。地道にコツコツと取り組むタイプの方も、しっかり評価されて活躍できる場があります。だからこそ、弊社のIT部門には“幅広いタイプの人材”がフィットすると思います。
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