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バリューチェーンの例を幅広く紹介!スターバックスが行った工夫とは?転職先で戦略策定の即戦力になろう!
事業戦略を立てるときに、バリューチェーンの考え方を導入する企業が増えてきました。バリューチェーンを活用すれば、価値の連鎖を生み出せるといいます。しかし、わかりそうでわかりにくい言葉に多くの疑問を持つ方も多いでしょう。そこでバリューチェーンの意味や目的、そして活用方法をわかりやすく解説します。

バリューチェーンとは
バリューチェーンという言葉を最近よく耳にしますが、日本語に直訳すると価値の連鎖という意味です。
製造業を例に説明すると、開発から材料調達・組み立て・販売・マーケティング・アフターフォローという事業内容の一連の流れの価値を指します。
言葉の意味
バリューチェーンという言葉は「Value Chain」と英語表記されますが、この2つのワードを分けると「Value=価値」「Chain=鎖」と直訳できます。
1つの商品を生産して販売するには一人の力ではできず、必ず複数の人達がかかわり販売に至るのが通常です。
モノが出来上がっていく過程で商品としての価値が上がっていきます。その価値の連鎖で最終的に顧客が満足できる商品となります。
価値の高まり
例えば車を例に取ってみましょう。
新しい車を開発する際、まずは設計をして具体的な形を作り上げます。
これをプロトタイプとしてテストを行い、徐々に商品としての性能を高めて最終的に完成させるわけです。
この工程の中には多くの人とモノがかかわり、これらの価値が繋がる、つまり連鎖することで顧客が満足する車が出来上がります。
バリューチェーンとは、商品が完成するまでの一つひとつの工程の価値が高まり繋がっていくことを意味しています。
バリューチェーンとサプライヤーチェーンの違い
バリューチェーンとよく似た言葉にサプライヤーチェーンがありますが、その本質は全く異なります。
バリューチェーンは製品が顧客に届くまでに様々な価値が加わる流れを表す言葉です。
一方サプライヤーチェーンは原材料から製品が組み立てられ、顧客に渡るまでの流れを表します。
サプライヤーチェーンは供給連鎖を表し、バリューチェーンは価値連鎖を表す点で大きく異なります。
サプライヤーチェーンは供給業者が物を作り出し、その物が連鎖していく考え方であり、終点は顧客です。
バリューチェーンは1つの製品が完成し顧客に渡るまでの過程で「付加価値」が増えていく連鎖を指します。
最終的に顧客に渡るときにどの程度の価値が備わるか。これを考えるのがバリューチェーンです。
バリューチェーンは一つひとつのプロセスの付加価値に注目した考え方で、顧客満足度にも大きく影響するほか、企業の収益にもかかわってきます。
バリューチェーンの意味や目的
バリューチェーンの意味は、顧客に満足させるための商品開発です。
意味を理解していても、競合他社と同じことをやっていたのでは当然利益も上げることはできず、後れを取ることになります。
そこでバリューチェーンの真の意味と目的を理解して、もう一度企業活動を見直すことで大きなチャンスが生まれてきます。
特に現代の消費者動向は、数年前とは購買方法自体に大きな変化が起きています。
購買の変化に対応
SNSの発達により多くの情報がネット上に溢れ、かつての商品のようにモノを販売すれば口コミだけで売れる時代ではなくなったからです。
消費者はより価値の高い商品を求めネット上から多くの情報を集めて商品の品定めをしています。
現代では大手の商品であれば黙っていても売れることはありません。
他と差別化できた商品が売れ、他社に模倣されない新しい価値のある製品を生み出す改革が必要です。
バリューチェーンは主活動と支援活動に分けられる
バリューチェーンの考え方が初めて世の中に登場したのは、1985年のこと。
マイケル・ポーター著の「競争優位の戦略」で使用されたのが始まりです。
バリューチェーンはひとくくりで考えるのではなく、主活動(Primary)と支援活動(Support)の2つに分けて解説されています。
主活動はお客様に対するサービスの向上と認知度アップ、そしてお客様が満足する製品開発が目的です。
支援活動は社内基盤の整理をする事で、作業効率アップとコスト削減が大きな目的です。
このように2つに分けて考えるようにします。
主活動と支援活動をわかりやすく分類すると以下の通りです。
主活動
・購買物流・・・原材料の仕入れ
・製造・・・製品の製作
・出荷・物流・・・製品の保管から発送まで
・マーケティング・・・ユーザーに商品を知ってもらう
・サービス・・・購入したお客様へのアフターフォロー
支援活動
・管理全般・・・企業内の管理
・人事・労働管理・・・働きやすい環境づくりと人材確保
・技術開発・・・新商品開発と既存製品の見直し
バリューチェーンで期待できる効果
バリューチェーンで期待できる効果は計り知れません。
今までの企業活動を見直しバリューチェーンの概念の通りに企業を考察することで、競合他社に負けない会社を作り上げることも可能です。
バリューチェーンでは事業戦略を立てやすくなり、企業にどのような改善余地があるのか知ることができるでしょう。
事業を細分化して企業内を考察できるので、今までの事業戦略の有効性を見極めることもできます。
また事業ごとに競合他社と比較できるので、どの部分を改善すればよいか見えやすいのがメリットです。
事業を細かく分類し、それぞれが企業全体の中でどのような役割を持っているのか、コストはどの程度かかっているのか。
これらを確認すれば、事業戦略の貢献度を知ることができます。
そうすることで、個々の役割の重要性や方向性を見直すことが可能です。
バリューチェーン分析とは
バリューチェーン分析とは企画から組み立て、そしてユーザーが手にしてからのアフターサービスまでの流れを分析します。
この時、どれだけ価値と物が連鎖しているかがカギになるでしょう。
バリューチェーン分析を行ってブランドイメージをユーザーに植え付けるための戦略として利用することもあります。
社内のコスト削減を目的とした分析ではありません。
バリューチェーン分析では価値とモノの連鎖の2つの軸から分析をすることが重要です。
企業が製品を製造して販売するまでには、主活動と支援活動の2つが連鎖して初めて商品を販売できます。
主活動を物、支援活動を価値として流れを見れば、高い付加価値がどこにあるか、問題点がどこにあるかが一目瞭然です。
バリューチェーン分析の目的と活用
バリューチェーン分析の目的は企業のどのプロセスに強みがあり、そして問題のプロセスがどこにあるのか知ることにあります。
また分析した項目をそれぞれの項目で活用することで、コスト削減や競合他社との差別化ができるでしょう。
企業の弱みと強みを分析
バリューチェーン分析を活用すると企業の弱みと強みが見えてきます。
プロセスを洗い出すことで優れている点と劣っている点を見つけられるので非常に有益です。
例えば他店より若い顧客が多いのであれば、若い人向けに大きな宣伝を打つことで今までより多くの若いユーザーを獲得できます。
このように競合他社より優れているところを見つけるのがポイントです。
強みを生かした大胆な戦略に打って出ることができるため、お店の弱みを打ち消すことも可能です。
差別化戦略ができる
市場はどの分野においても常に激しく変化しており、競合他社も同じように強みや弱みの分析を行い、戦略を立ててきます。
そこでバリューチェーン分析で競合他社の強みと弱みの分析をすれば、他社との差別化を図った商品開発が可能です。
特に有益なのは競合他社に模倣される可能性の分析も行えることでしょう。
これから開発して販売する商品が他社にとってどれだけの経費が必要なのかを知ることで、模倣されやすさを分析できます。
経費をかけずに簡単に模倣できるようであれば、同じような商品が世に溢れてしまうでしょう。
コスト削減ができる
企業が利益を上げるにはコスト削減と付加価値の向上が欠かせません。
コストは人・物・情報・ノウハウなどにかかってきますが、全てを洗い出してスポットで考えるようにします。
細かく洗い出してバリューチェーン分析することで、無駄が無くなり商品の粗利益を高めることも可能です。
コスト削減は主観的な見方になることが多々あります。
一人の担当者に任せるのではなく複数の担当者で分析を行い、部署を超えて協力して進めるのが良いでしょう。
スターバックスの行った工夫とは
バリューチェーンは自社の強みがどこにあるのかを把握するものだということは解説の通りです。
スターバックスコーヒーの他社にはない強みとは、「お洒落な店内(心地の良いサービス)」ではないでしょうか。
スターバックスコーヒーでコーヒーを飲むという行動に優越感を覚える程の圧倒的にお洒落な空間があります。
昔から存在する喫茶店には無かった概念です。
普通の喫茶店ではなく、他社では追いつけない程のお洒落な喫茶店としてのイメージを確立できたバリューチェーンの成功例といえるでしょう。
バリューチェーンへの取り組み方
競争が激化している現代では、どの業種も同じことをやっていては勝ち残ることはできません。
バリューチェーン分析では、自社の強みを磨いて他社と差別化できる点を見いだせるように取り組む必要があります。
バリューチェーン分析によりコストダウンを図っても、顧客が満足する商品が開発できなければ意味がありません。
利益が高い部分だけを注視して問題解決に取り組んでも、それは連鎖を前提にしておらず、バリューチェーン分析のメリットが生きません。
常に連鎖による分析を心がけることで自社の強みと弱みの分析ができます。
最終的に顧客に満足して貰える、コストを抑えた商品開発ができるのです。
コストと価値を同一線上で分析する必要があるでしょう。
バリューチェーンの活用方法
バリューチェーン分析を企業活動に反映させるには、要改善点をしっかりと読み取る必要があります。
コストばかりに目が行きがちですが、連鎖というバリューチェーンの本質を忘れるとチェーンは切れてしまうでしょう。
バリューチェーンの内容をしっかり理解し、具体的にどのような施策を打てばよいのか課題を明確にすることが重要です。
バリューチェーンにはレベルがある
企業改善に向けてバリューチェーン分析をする場合、企業によっては産業全体でバリューチェーン分析が必要となることがあります。
他の企業と連鎖している場合は産業レベルでバリューチェーン分析を行うことも必要です。
その際、産業レベルをひとつの企業に見立てて分析を行います。
競合他社と戦うためには分析する視点を決める必要があり、活用したいバリューチェーンをレベル分けすることです。
企業が大きくなればなるほどバリューチェーンを行う場所は異なります。
部署単位で行うのかそれとも企業全体で行う必要があるのか吟味しなければなりません。
そのためには、活用したいバリューチェーンを先に考える必要があるのです。
企業活動にかかるコストを知るのは効率化を考えているだけ
バリューチェーン分析が完了するとデータに基づいて議論をする必要があります。
そこで挙げられるデータのほとんどはコストに関するデータでしょう。
企業活動にかかっているコストを明確にでき、1つの商品の開発から顧客に渡るまでのコストも分かります。
しかしコストにばかり目が行くと、企業の効率化を考える議論の場と変わってしまうかもしれません。
重要なのはコスト削減ではなく、データをもとにして価値のあり方を議論することです。
顧客が満足できる商品を作るにはどうすべきか、そして今後企業が生き残るにはどうすればよいのか。
これが価値の連鎖の議論に繋がります。
連鎖を考えて活用する
バリューチェーン分析で問題が見つかると、その部分を入れ替える改革を直ぐにでも行う必要があると考えることでしょう。
しかしこれではバリューチェーンの考え方が生かされません。
バリューチェーンは全てが連鎖しているという考え方に基づいています。
一つ問題があった場合、そこだけを変えてしまうと前後とのチェーンが切れてしまいます。
これでは連鎖が断ち切られ、真のバリューチェーン分析の活用とはいえません。
全体のつながりを考え、問題となる部分を修正した場合にどのような影響がでるか、考える必要があります。
商品開発から顧客までの流れを断ち切らないように議論することが重要です。
まとめ
バリューチェーンとは、企業の効率化を図りコストを削ることと非常に良く似ています。
ですが、生産性向上による業務効率化と顧客の満足度向上に繋がる「価値」を高めるのがバリューチェーンです。
商品の企画から生産・アフターフォローまでが1つでも噛み合わないと、企業としての価値が失われるだけでなく顧客も逃してしまうでしょう。
バリューチェーンは価値の流れの連鎖であり、そこには顧客からの膨大な情報も一緒に巡っています。
効率化だけを求めた改革にならないようにしましょう。
バリューチェーンを活用する目的を理解した上で活用できる人材が、今後のIT業界に求められています。
バリューチェーンを使って顧客と企業にどんなプラスを与えたいのか、ぜひ転職活動でアピールしてください。
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